エルムの森だより

北海道大学教職員組合執行委員会ブログ

運営費交付金の2019年度予算案

 
次年度予算案について、国立大の人件費を圧迫する運営費交付金の傾斜配分案が出され、さらに傾斜配分を拡大する方針であるという報道がなされています
教員の人件費が確保できず、退職教授の後ポストを補充できない北大にとって
最悪の予算方針です。
 
以下、その報道です。
 
国立大学の運営費交付金の2019年度予算案で、約1割に当たる1000億円を“評価に基づく傾斜配分”とする厳しい仕組みが公表された。衝撃的なのは、国立大の第4期中期目標期間が始まる22年度から「評価と配分の仕組みを交付金全体に広げる」という方針だ。
 
日刊工業新聞2018.12.26より)
 
「国立大の運営費交付金に衝撃、“評価に基づく傾斜配分”あっという間に10割に!? 2022年度から「仕組みを全体に広げる」方針」
 
 
この記事の終わりの山本佳世子記者の次のコメントがあります。
「国立大減に向けては、限られた政府予算を奪い合う形にし、「先見の明あり」も「やむにやまれず」も一緒くたに、ただし「各大学の自らの判断で」の統合をいくつも促す、というのが政府の方向性だと、数年前から感じていた。とはいえ、私も「内閣府での強硬派は、一部の議員と△省系の事務方のみ」と思っていただけに、「もはやそんなレベルでない賛同者増になっているのか」と気づいて慌てた。今回の予算&第4期に向けて、つまりわずか19-21年度の間に「まずは評価反映を全体の1割にし、徐々に増やして10割に」という方針は、予想を越えたものでショックを受けた。予算のレクでは終了後も、国立大学法人支援課の課長らに、いつまでも黒山の人だかりだった。本件についてはさらに取材を進めて、1月に改めて発信したい。」

厳格な業績評価に基づく新たな年俸制

安倍内閣は6月15日の閣議経済財政運営と改革の基本方針 (主なポイント)未来投資戦略2018 (概要)統合イノベーション戦略 (概要)を決定しました。
 それを受け文科省は6月22日の国立大学法人等人事担当者説明会で
人事給与マネジメント改革の動向及び今後の方向性Q&Aについて説明しました。
その中で年俸制の見直しについて,
1)年俸制の定義を拡大
2)多様な雇用形態を可能とする
3)業績評価とその処遇への適切な反映の徹底
等を上げ,4つのモデルを提示しています。
 新たな年俸制は基本給を大幅に減らして業績給を増やし,総人件費も圧縮するという狙いでしょう。業績主義の強化により差別と教員間の分断が持ち込まれる可能性が強くなるといえるでしょう。
 国立大学協会は2018年8月に国立大学の改革の方向性を出しました。

 

北大では以下の様な方針を決めていますが,新年俸制の内容はまだ明らかではありません。

 1)2018年度末をもって,現行の年俸制に係る新規適用を終了させる
 2)2018年3月1日に現行年俸制へ移行できる機会を確保する
 3)現行年俸適用者はその取り扱いを継続する
 4)新たな年俸制は2019年4月以降策定し,それ以降移行申出を開始
 5)2019年4月~新年俸適用の間の新規採用教員は月給制を採用する

北大は教員人件費を7.5%減らしてもなお赤字になる見通しを立てており,総人件費抑制・全体の賃金引き下げになる可能性は極めて高いといえるでしょう。教員の退職金もこの6年で約600万円も減額され,この先も明るい展望はありません。

働きがいのある職場・落ち着いて研究をする環境,それを保障する賃金の確保はどうしても必要です。定年も65才に引き上げなければならないでしょう。

運営費交付金の増額は喫緊の課題ではないでしょうか。

今年は正規職員登用試験制度を変更,疑問・不満の声も

 北大では非正規で有期雇用職員を正規職員に採用する試験(筆記試験と面接)を平成24年度より行っていますが,その合格者数(応募者数)は24年度3名(298)、25年度4名(124)、26年度3名(88)、27年度1名(72)、28年度4名(77)、29年度?名(47)と極めて少数です。

 今年は試験の方法を大きく変更し小論文と面接にしました。採用試験の公表が遅く,応募期間は土日挟んで10日間,実際に試験のことを知ったのが金曜日だったとの連絡体制にも問題がありそうです。

 また,小論文の課題は「あなたがこの試験に合格した10年後,どのような事務職員になりたいかを述べてください。また,北海道大学が現在直面している課題を挙げ,その課題解決に本学の事務職員はどのように取り組むべきかを併せて述べてください。」であり,中央事務系に働く人はまだしも,研究室で働いている人や年齢的に10年後まで働けない人にとっては極めて不利な内容です。

 試験を変えるのにいつもより遅い時期に公表され,応募期間が短く,課題にも公平感が欠けるもので,疑問・不満がでても仕方ないでしょう。「出来レースでは?」との声も聞こえてきます。

朝日新聞は9月26日から「教えて!日本の「科学力」」を8回にわたって連載していました。とても興味深い記事ですので,一読ください。

1)雑務に追われ、論文減少
 http://news.asahi.com/c/aobvbf371VdV4Jak

2)博士課程への進学、若者が敬遠している?
 http://news.asahi.com/c/aobSbf36fiaR64aq

3)科研費、獲得しにくくなっているの?

 www.asahi.com

4)研究費増えたイノベーション、現状は?

  

www.asahi.com

 5)不正研究,なぜ起こるの?

 

www.asahi.com6)重視する研究テーマ,政治主導で決まるの?

 

www.asahi.com7)企業の論文,なぜ大きく減ったの?

www.asahi.com8)軍事研究費,「学問の自由」に影響は?

 

www.asahi.com

北大の5年雇い止めルールの撤廃と、非正規職員の無期雇用転換を求める有識者アピール運動からのお知らせ

アピールの会からのお知らせです

組合でも積極的に取り組んでいます

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北海道大学の5年雇い止めルールの撤廃と、非正規職員の無期雇用転換を求める有識者アピール・賛同者(2018年5月7日、第三次集約分)」を送ります。

http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/~masanori/18.05.07appeal

まわりにひろめていただくようお願いします。

(2)
北大内での動き=北大職組の取り組みなどをご紹介します。

○北大職組による、5年雇い止めルールの完全撤廃を求める団体交渉の申し入れが行われました。

http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kumiai/17/180423koushoumousiire.pdf

○雇い止めを撤回した東大職組の委員長である佐々木彈さんの講演会が、5月18日に北大職組主催で開催されます。ぜひご参加ください。

http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kumiai/17/20180518kouenkai.pdf

「北海道大学の5年雇い止めルールの撤廃と、非正規職員の無期雇用転換を求める有識者アピール」を集めています


北海道大学の5年雇い止めルールの撤廃と、非正規職員の無期雇用転換を求める有識者アピール」の
賛同者は 215人(3月29日時点、第二次集約)+8人(第三次集約中)です
 
アピールに賛同いただける方は、(3)をご覧になり連絡を
川村雅則 ( masanori@econ.hokkai-s-u.ac.jp ) までお願いします。
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(1)
北海道大学の5年雇い止めルールの撤廃と、非正規職員の無期雇用転換を求める有識者アピール・賛同者(2018年3月29日、第二次集約分)」です。
http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/~masanori/18.03.29appeal


(2)
北海道新聞』の記事です。
「無期転換「雇い止め怖い」 「ルール」開始、企業説明動き鈍く 労働者に不安の声」『北海道新聞』朝刊2018年4月4日付
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/177552
北大の脱法行為と、その撤回を求めるアピール運動にもふれています。

(3)
アピール賛同の次回(第三次)集約日は、5月7日(月)です

北大のなかでも無期雇用転換、雇い止め問題が4月以降も話題になることは間違いなく、
北大は今後、より一層厳しい、社会的な注目を集めることになるでしょう。
その点で、非正規雇用問題がこれまでとは違った文脈でとらえられると思います。
また、労使間でも、団体交渉が5月に開催(再開)されます。

当事者・北大職組はもちろんのこと、5年雇い止めルールは理不尽であると考えておられる
北大の全ての教職員を応援するため、ぜひまわりにおひろめいただければと思います。

※呼びかけの対象は引き続き、大学教員、弁護士の方々になります。
※必要情報は、お名前/(大学教員の場合は)所属と職位・肩書き/お名前の公開の可否となります。
※ご賛同は、川村雅則 ( masanori@econ.hokkai-s-u.ac.jp ) までお送りください。

有期雇用の濫用をなくし、雇用安定社会の実現に向けて、がんばりましょう。
引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。

以下、資料など


<新聞記事にみるこの間の流れ>
○「無期転換「雇い止め怖い」 「ルール」開始、企業説明動き鈍く 労働者に不安の声」『北海道新聞』朝刊2018年4月4日付
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/177552

○「北大の契約職員雇い止め撤回を 弁護士らアピール文」『北海道新聞』朝刊2018年3月17日付
http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/~masanori/18.03.17news
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/172706

○18.03.16「非正規の雇用継続ルール来月スタート 「無期転換」適用外の職場も」『北海道新聞』朝刊2018年3月16日
http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/~masanori/18.03.16news
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/172233

○18.02.16「4月から有期契約労働者の無期雇用転換/企業など対応異なる」『北海道新聞』朝刊2018年2月16日付
http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/~masanori/18.02.16news

○18.02.12「無期雇用 大学も続々/事務職員や非常勤講師待遇改善へ前進」『北海道新聞』朝刊2018年2月12日付
http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/~masanori/18.02.12news

<全国の動向など>
○18.03.08「雇い止め 無期転換逃れ 長崎県立大が撤回 労働局指摘」『毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180308/ddm/041/040/060000c

○18.03.21「雇い止め「撤回を」 女性職員、静岡県労働委にあっせん申請」『静岡新聞
http://www.at-s.com/news/article/social/shizuoka/470290.html

○18.03.22「<東北大雇い止め>東北18国公立大の無期雇用転換ルール 東北大のみ実施せず」『河北新報
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201803/20180322_13010.html

○18.03.26「「雇い止め」に相次ぎ訴え 各地で大学と教職員が対立 4月から無期転換ルール適用で」『産経新聞
http://www.sankei.com/life/news/180326/lif1803260007-n1.html

<学習教材>
○『なくそう!有期雇用 つくろう!雇用安定社会(無期雇用転換パンフレット)ver2.0』2018年1月発行
http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/~masanori/18.01labour02

○『なくそう!有期雇用 つくろう!雇用安定社会(無期雇用転換パンフレット)ver1.0』2017年10月発行
http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/~masanori/17.10labour

<その他の大学関連記事>
○異見交論40「国立大学法人化は失敗だ」山極寿一氏(京都大学学長)
http://kyoiku.yomiuri.co.jp/torikumi/jitsuryoku/iken/contents/40-2.php


 

長崎労働局が長崎県立大学の無期転換逃れ,認めず

以下の情報が寄せられました

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◆ 長崎労働局が長崎県立大学の無期転換逃れ,認めず

  是非ご覧ください。

  https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180308-00000004-mai-soci