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エルムの森だより

北海道大学教職員組合執行委員会ブログ

学術会議検討委中間まとめ案, 防衛省委託「研究に政府介入大」

以下の情報が寄せられました

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防衛省委託 「研究に政府介入大」
学術会議検討委 中間まとめ案

 軍事研究に関して議論している日本学術会議の「安全保障と学術に関する検討委員会」は16日、都内で8回目の会合を開き、審議の中間とりまとめ案を議論しました。

 2月4日開催の公開フォーラムで中間まとめを示すため、委員長の杉田敦法政大学教授が素案を提示しました。学術会議が1950年と67年に軍事研 究を行わない声明を出した背景に、科学者コミュニティーの戦争協力への反省と、政府からの独立性の確立の誓いがあったことを確認したうえで、防衛省の委託 研究制度は「政府による研究への介入の度合いが大きい」と指摘。軍事研究は秘密保持が要求されがちで「研究が萎縮するおそれ」があるとして、学術の健全な 発展に及ぼす影響に懸念を示し、慎重な判断が必要だとしました。

 井野瀬久美恵学術会議副会長は「学術・教育に関わる者が(戦争に)手を貸してはいけない」と強調。佐藤岩夫東京大学教授は防衛省の制度の「廃止・ 縮小を求めるべきだ」と述べ、山極寿一京都大学学長は「公開できない公募研究は認めるべきではないとはっきり宣言してほしい」と主張しました。

 大西隆学術会議会長は、大学などでの自衛のための装備開発につながる基礎研究を認めるべきだという修正を主張。議論を踏まえた中間とりまとめは、今月中に学術会議のホームページで公表されます。

 同日、学術会議前で「軍学共同反対連絡会」と賛同団体の「軍学共同反対市民の会」が軍事研究に反対する宣伝行動を行いました。

 

以下は朝日新聞の報道です

 

軍事研究、大学はどう向き合うか 学術会議が4月結論 朝日新聞1/30

 大学などの学術界は、軍事研究とどう向き合うべきか――。日本学術会議の「安全保障
と学術に関する検討委員会」が昨年6月から計16時間以上議論し、今月16日に中間と
りまとめを公表した。今後、2月4日の公開討論会を経て4月の総会で結論を出すが、こ
れまでどんな議論が行われてきたのか。

■「学問の自由」が焦点
 議論の焦点の一つは、憲法23条が保障する「学問の自由」についてだ。研究成果の公
開(公開性)と、研究者の創意に基づく自由な研究(自律性)の二つを巡り、意見が交わ
された。
 学術は、研究者が論文や学会で成果を公開し、自らの意思で独創的な研究を行うことで
「公開性」と「自律性」を車の両輪として発展してきた。だが、議論の背景には学問の自
由を巡る懸念がある。
 具体的には、防衛装備庁が大学などを対象に2015年度に始めた「安全保障技術研究
推進制度」での成果の「公開性」だ。防衛装備庁は「原則公開」とするが、山極寿一委員
京都大学長)は「防衛に関わる研究が常に公開できるとは正直思えない」と指摘。現在
の制度では、防衛装備庁が研究の管理をする点を踏まえ、「公開するかどうかは基本的に
研究者が判断すべきだ」と主張した。
 佐藤岩夫委員(東京大教授)は成果が法の特定秘密に指定される懸念を示し、「もとも
特定秘密保護法の本質は罰則による情報の秘匿にあり、学術との緊張関係は大きい」と
述べた。
 「自律性」への指摘も多かった。政府は自由な研究に使える運営費交付金を減らし続け
ている。検討委で意見を述べた名古屋大の池内了名誉教授は「多くの研究者は研究が困難
になっている。たとえ防衛省の資金でも、研究を維持したいと望む研究者が生み出されて
くる」と指摘した。
 これに対して、小松利光委員(九州大名誉教授)は、国の安全保障への貢献は社会の負
託だとし、「国の自衛のための研究は国民としての義務。そこに積極的に貢献したい研究
者を否定するのは、学問の自由の束縛だ」と反論した。
 杉田敦委員長(法政大教授)は、中間取りまとめを発表した際、「学問の自由」と「社
会貢献」との対比で議論を整理し、「学問の自由は、仮に独善的と言われても守らなけれ
ばすぐに崩れてしまう。学術会議にとって学問の自由、科学者の自由を守ることは一番重
要な課題だ」と述べた。

■民生技術との線引き困難
 もう一つは、軍事技術につながる研究と、私たちの生活で利用する民生技術の研究は区
別できるか、という点だ。
 軍事技術と民生技術の両面を持つ研究の代表例にインターネットがある。ほかにも、京
都大の福島雅典名誉教授が委員会に提出した要望書によると、リハビリのために開発され
パワーアシストスーツを健康な人が紛争地で装着したり、胎児心電図の技術を使って潜
水艦やミサイルのシグナルをとらえたりできるような研究もある。
 検討委では「軍事研究と民生技術研究は線引きできない」という意見が目立った。検討
委で意見を述べた情報セキュリティ大学院大学の林紘一郎教授は、大規模なサイバー攻撃
は「武力の行使」になりうるとして、「セキュリティー技術の善用と悪用の区別は困難
だ」と指摘。長崎大核兵器廃絶研究センター長の鈴木達治郎氏も委員会の場で「すべての
科学技術は軍事転用できる」として、研究成果が軍事転用・悪用されない仕組みが必要だ
と訴えた。
 自衛のための研究と攻撃の技術を切り分けることの検討もされた。大西隆会長(豊橋
術科学大学長)は昨年10月の総会で、学長として承認した毒ガスのフィルターの研究は
「攻撃的な兵器を作ろうということではない」と説明。これに対し、「防衛的なことが攻
撃的の裏返しだということもある」という意見も出た。中間とりまとめでは「こうした政
治的事項について学術会議として意思決定することは適切ではない」などとして争点化を
避けた。

■問われる 科学者の良心
 日本学術会議は、軍事研究に対し、これまで2回の声明を出している。米ソ冷戦や朝鮮
戦争直前の状況を反映した1950年の声明では「科学者としての節操を守るため、戦争
を目的とする科学の研究には、今後絶対に従わない」と決議。ベトナム戦争を背景にした
67年にも、「戦争目的の科学研究を行わない」とした。
 今回、検討委員会が置かれたのは軍民両用で利用可能な技術が数多く生まれ、「時代の
変化を受けてあらためて検討が必要だ」(大西会長)との問題意識からだ。ただ、現状は
過去2回と変わっていない、との主張もある。井野瀬久美恵委員(甲南大教授)らによる
と、過去2回も「反省」一色ではなかったという。
 50年声明の際には、医学や工学系の科学者から「戦争になったら科学者が国家に協力
するのは当然」とする意見が寄せられたという。科学や技術がいわば両刃の剣であること
も指摘されていた。井野瀬教授は、過去2回の声明は、そうした対立を乗り越えたものだ
ととらえている。「今回の議論の本質は、科学者として守るべき良心と矜恃(きょうじ)
を明確に示すことだ」と話す。(嘉幡久敬、杉原里美、竹石涼子)

     ◇

■中間とりまとめの骨子
・学問の自由は政府によって制約されたり政府に動員されたりしがちであるという歴史的
経験をふまえ、学術研究の自主性・自律性を担保する必要がある。
・安全保障と学術との関係を検討する際の焦点は、軍事研究の拡大・浸透が、学術の健全
な発展に及ぼす影響である。
・安全保障技術研究推進制度は、将来の装備開発につなげる明確な目的があり、防衛装備
庁の職員が研究の進捗(しんちょく)管理を行うなど、政府による研究への介入の度合い
が大きい。
自衛権についてどう考えるかの問題と、大学等における軍事研究についてどう考えるか
の問題とは直結するものではない。
・大学等の各研究機関は、軍事研究と見なされる可能性のある研究は、その適切性を技術
的・倫理的に審査する制度を設けることが望まれる。

     ◇

■戦後の科学技術と軍事をめぐる動き
1945年8月 終戦
     9月 GHQが原子力研究を禁止。その後、航空、レーダー、テレビなどの研
究も禁止
1949年1月 日本学術会議が発足
1950年4月 日本学術会議が声明「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決
意の表明」を発表
1950年6月 朝鮮戦争が始まる
1952年3月 GHQが兵器製造許可を日本政府に指令
     4月 サンフランシスコ講和条約が発効
1954年4月 日本学術会議核兵器研究の拒否と「公開・民主・自主」の原子力研究
3原則を声明
1957年8月 日本原子力研究所の研究炉が臨界。日本初の「原子の火」がともる
1967年10月 日本学術会議が「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を発表
2008年8月 防衛目的の宇宙利用に道を開く宇宙基本法施行
2014年4月 武器の「原則禁輸」を撤廃する防衛装備移転三原則が閣議決定
2015年7月 安全保障に役立つ技術開発を進めるための、研究費を支給する「安全保
障技術研究推進制度」の公募を防衛省が開始
2016年5月 日本学術会議が軍事と学術の関係を議論する検討委員会を設置
2017年1月 同検討委が中間とりまとめを公表
     4月 結論を出す予定

     ◇

■安全保障と学術に関する検討委員会委員
委員長 杉田敦・法政大教授(政治学)
副委員長 大政謙次・東京大名誉教授(農学、環境学
幹事 佐藤岩夫・東京大教授(法学)
幹事 小松利光・九州大名誉教授(土木工学・建築学
委員 井野瀬久美恵・甲南大教授(史学)
   向井千秋東京理科大特任副学長(総合工学、臨床医学
   森正樹・大阪大教授(臨床医学
   山極寿一・京都大総長(統合生物学、地域研究)
   大西隆豊橋技術科学大学長(土木工学・建築学
   岡真・東京工業大教授(物理学)
   土井美和子・情報通信研究機構監事(情報学、電気電子工学)
   花木啓祐・東京大教授(環境学、土木工学・建築学
   安浦寛人・九州大理事・副学長(情報学、電気電子工学)
   小林傳司・大阪大理事・副学長(哲学)
   小森田秋夫・神奈川大教授(法学、地域研究)