日本の科学者を代表する国の特別の機関、日本学術会議の総会が13日から始まり、軍事的な安全保障の技術研究に慎重な対応を求める半世紀ぶりの新たな声明を、14日に示すことにしています。
日本の科学者を代表する日本学術会議は、先の大戦で、科学者が協力したことへの反省から、昭和42年に「軍事目的の科学研究を行わない」とする声明を出しています。
一方で、防衛省がおととし、大学などに研究資金を提供する制度を始めたことから、軍事的な安全保障技術の研究との関わり方について、新たな声明を半世紀ぶりにまとめ、14日の総会で全国の研究者に示すことになりました。
声明では「軍事目的の科学研究を行わない」とする、これまでの声明を「継承する」としています。そして、防衛省が大学などの研究機関に資金を提供する制度について、「将来の装備開発につなげるという明確な目的に沿って公募や審査が行われ、政府による研究への介入が著しく、問題が多い」と指摘しています。
そのうえで、それぞれの大学などに対して、軍事的な安全保障の技術研究と見なされる可能性のある研究について、その適切性を技術的・倫理的に審査する制度を設けるよう求めています。一方で、軍事的な安全保障の技術研究を禁止する直接的な文言は盛り込まれていません。
日本学術会議の声明には強制力はありませんが、日本の科学界の意思を表明するものと位置づけられていて、それぞれの大学では、軍事的な研究にどう対応するか、判断を求められることになります。
研究者の受け止めは?
日本学術会議の総会に出席した研究者の受け止めです。
広島県の大学の63歳の研究者は、新たな声明が、戦争の反省を教訓に出されたこれまでの声明を「継承する」としていることについて、「当然の決断だと思う。少子化で大学間の競争が激しくなっていることや、研究資金が減っていることなど厳しい背景もあるが、学術は平和のために発展しなければならないと思う」と話していました。
また、北海道の大学の67歳の研究者は「タイミングのいい声明だと思う。近年は、軍事技術と民生技術の距離が近づいていて、アメリカなどの海外からも軍事的な研究助成金が入ってきている事実がある。そういう資金を、これまで十分に考えずに受けていたと思うので、今回の声明で考える機会が与えられたと思う」と話していました。
東京の大学の55歳の研究者は「技術は使い方によって何にでも使えるという側面がある。技術が研究者の意図しないところで軍事用に転用されることがあることについて、まだ議論が十分には進んでいない」と話していました。
広島県の大学の63歳の研究者は、新たな声明が、戦争の反省を教訓に出されたこれまでの声明を「継承する」としていることについて、「当然の決断だと思う。少子化で大学間の競争が激しくなっていることや、研究資金が減っていることなど厳しい背景もあるが、学術は平和のために発展しなければならないと思う」と話していました。
また、北海道の大学の67歳の研究者は「タイミングのいい声明だと思う。近年は、軍事技術と民生技術の距離が近づいていて、アメリカなどの海外からも軍事的な研究助成金が入ってきている事実がある。そういう資金を、これまで十分に考えずに受けていたと思うので、今回の声明で考える機会が与えられたと思う」と話していました。
東京の大学の55歳の研究者は「技術は使い方によって何にでも使えるという側面がある。技術が研究者の意図しないところで軍事用に転用されることがあることについて、まだ議論が十分には進んでいない」と話していました。
防衛省から研究資金 どんな制度?
今回の声明のきっかけとなった、防衛省による大学などへの研究資金の提供制度は、おととし導入され、これまでに19の研究が採択されています。
政府は、4年前の平成25年に閣議決定した「防衛計画の大綱」で、安全保障環境が厳しくなる中、防衛力を支える基盤を強化するため、「大学や研究機関との連携の充実などにより、防衛にも応用可能な民生技術の積極的な活用に努める」として、大学などとの連携を強めていく方針を掲げています。
こうした中、防衛省では、民間の先進的な技術を将来の防衛装備品の開発に積極的に取り入れるため、おととし、大学などの研究機関に資金を提供する安全保障技術研究推進制度を新たに設けました。
これまでに、大学や研究機関などから153件の応募があり、19件の研究が採択されました。
このうち大学と高等専門学校からは81件の応募があり、大学からの9件が採択されています。
この制度の平成27年度の予算はおよそ3億円で、2年目の昨年度はおよそ6億円でしたが、3年目となる今年度はおよそ110億円に大幅に増額されています。
研究1件あたりの提供額も、平成27年度と昨年度は、最大で年間およそ4000万円でしたが、今年度は、最大5年間で20億円規模に拡大されています。
政府は、4年前の平成25年に閣議決定した「防衛計画の大綱」で、安全保障環境が厳しくなる中、防衛力を支える基盤を強化するため、「大学や研究機関との連携の充実などにより、防衛にも応用可能な民生技術の積極的な活用に努める」として、大学などとの連携を強めていく方針を掲げています。
こうした中、防衛省では、民間の先進的な技術を将来の防衛装備品の開発に積極的に取り入れるため、おととし、大学などの研究機関に資金を提供する安全保障技術研究推進制度を新たに設けました。
これまでに、大学や研究機関などから153件の応募があり、19件の研究が採択されました。
このうち大学と高等専門学校からは81件の応募があり、大学からの9件が採択されています。
この制度の平成27年度の予算はおよそ3億円で、2年目の昨年度はおよそ6億円でしたが、3年目となる今年度はおよそ110億円に大幅に増額されています。
研究1件あたりの提供額も、平成27年度と昨年度は、最大で年間およそ4000万円でしたが、今年度は、最大5年間で20億円規模に拡大されています。