エルムの森だより

北海道大学教職員組合執行委員会ブログ

没落する地方国立大の何とも悲惨な台所事情、 個人研究費年50万円未満の教員が6割

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週刊東洋経済オンライン 2018年02月05日

没落する地方国立大の何とも悲惨な台所事情
個人研究費年50万円未満の教員が6割

西澤 佑介 : 東洋経済 記者

日本の大学が危機に瀕している(イラスト:門川 洋子、デザイン:新藤真実)

岡山大学で免疫細胞を研究する田中智之教授の研究室には、計15人の学生が所属する。

「僕らぐらいの陣容の研究室だったら最低限の実験機材、試薬代などで年間500万円はないと回らへん」(田中教授)。だが、大学から定期支給される 研究費(運営費交付金に基づく講座費)はたかだか年50万円しかない。日本学術振興会の競争的資金制度である科学研究費(科研費)助成事業に応募したり、 民間の科学研究助成財団からかき集めたりするが、十分な資金を安定的に確保するのはなかなか難しい。

地域の人材輩出機関としての権威からほど遠い

地方国立大学は「地域の雄」である。通う学生の多くは、地元でもよりすぐりの進学校から入学し、卒業後は地域のエリートとして地方の産業や行政を支える。しかし、今の地方国立大学を取り巻く現状はそんな地域の人材輩出機関としての権威からはほど遠いものだ。

2月5日発売の『週刊東洋経済』は、「大学が壊れる」を特集。資金不足で疲弊する国立大学や、18歳人口の減少でいよいよ淘汰の時期を迎えた私立大学の実情を特集している。

文部科学省が2016年7月に行ったアンケートで、国立大学教員の窮状が明るみになった。所属機関から研究者に支給される個人研究費は、「50万円 未満」と答えた教員が6割にのぼったのだ。「年の終わりになる11月~12月頃になると、研究資金が底をついて開店休業状態になるラボが続出する」と、取 材に答えたある地方国立大学理系学部の教授は話す。

研究に要する金額が大きい理系学部において、これは深刻な事態を生む。「研究室配属になった学生は、教員たちと一緒に研究をすることが教育にもなる。したがって開店休業状況では学生の教育すらできなくなる」(同教授)。

どうしてこうなったのか。

多くの国立大教員は2004年の国立大学の独立行政法人化が転機になったと話す。国は、国立大学へ定期配分する基盤的予算(運営費交付金)を年々削 減し、研究資金は公募・審査を通じた競争的資金で取ってくる形に変わった。しかも、その競争的資金の配分は、しばしば最新機器があって人数の多い大規模研 究室や、学会の有力者がいる研究室に有利となるバイアスがある。結果として、研究資金は東大・京大など一握りのトップ大学に過度に集中する形となった。

他方で地方国立大学は、運営費交付金削減の影響をもろに被って、教員の新規採用凍結(定年などで退職した教員のポストの不補充)や、個人研究費の削 減を余儀なくされた。教員は減っても、授業は既存の教員が受け持たなければならないので、教育負担は増えて研究時間は減った。このように資金面でも時間面 でも研究しにくい環境になった。

カネに窮する国立大学は、そして何のために行うのかわからないような「大学改革」に乗り出す。たとえばカリキュラム変更や、グローバル化対応を目的とした頻繁な改組、新学部の開設などである。

名目としては、世の中の変化に対応して大学の社会的存在感を高めるためであるが、文科省から改革に関する補助金を得られるからという事情も大きい。 それがまた、改革を本質的でないものとし、教員達は関連する学内事務に膨大な時間を割かれることになり、疲弊ぶりを深めてしまう逆効果になっているのであ る。

国立大学の科学研究論文は10年前から2620本減

日本の研究力の低下が叫ばれている。科学論文数の世界シェアの順位は主要先進国の中で日本だけが顕著に落ちている。文部科学省 科学技術・学術政策研究所「科学研究のベンチマーキング2017」によれば、2013~2015年における国立大学の科学研究論文は3万1850本と10 年前から2620本減、8%減となっている。


ドイツが代表例だが、欧米では比較的層の厚い中堅上位校が論文生産量と研究の多様性を担保している。日本の改革は、中堅層の大学を没落させる結果となった。

競争原理による集中は、マクロで見ても研究力を強くはしなかった。週刊東洋経済が2月5日発売号の特集で国立大学における研究費と論文の生産性を独自に調べてみたところ、一握りの上位大学だけに資金を過度に集中させても論文の生産性は結局上がらないこともわかった。

日本国内で産み出される論文の半分は、国立大学に所属する教員たちによるもの。研究力の低下を突きつめれば、科学研究の担い手である国立大学の疲弊が表面化したものであるといえる。

研究費8億円減、梶田所長が抗議「基盤揺らぎかねない」

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朝日新聞 2018年2月6日15時09分

研究費8億円減、梶田所長が抗議「基盤揺らぎかねない」

杉本崇

 国立大学の研究所代表でつくる「国立大学付置研究所・センター長会議」の梶田隆章会長(東京大宇宙線研究所長)は6日、政府の新年度予算案で研究プロジェクト費が8億円削減される見通しになったことに対し、「研究の基盤が揺らぎかねない」と述べた。海底に設置した地震計が回収できなくなったり、火山の観測データに欠損が出たりする恐れがあるという。

 国立大学には約80カ所の研究所があり、大型プロジェクトなどを担う共同研究の拠点になっている。梶田さんは記者会見で、「研究所を活用した学術 論文の数はここ5年間で52%増えた」と実績を挙げた上で、予算削減で研究計画が滞るなどの影響が出る可能性があると説明した。

 文科省によると、新年度予算案では、全国の国立大学研究所の研究プロジェクト費は2割減る方針。交付される予算は、今年度の61億円から新年度は53億円にとどまる見込み。研究所の運営経費は維持される。

 一方、新年度予算では、新しい政策として、海外から来た研究者の滞在費や旅費の支援に3億6千万円が盛り込まれた。これに対し、梶田さんは「研究費を補うものにはならないだろう」と話した。(杉本崇)

ノーベル賞の梶田氏ら会見「日本の

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日経新聞の報道です

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日本経済新聞 2018/2/6 10:27

ノーベル賞の梶田氏ら会見「日本の研究力低下懸念」

 ノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章東京大学宇宙線研究所長らは6日、研究予算の削減が深刻だとして東京都内で記者会見を開いた。全国の国立大学 が共同利用などにあてる研究所の研究予算が2018年度に平均6.6%削減される見通しだとし、文部科学省に改善を求めたことを明らかにした。梶田所長は 「日本の研究力をさらに落としかねない状況」と危機感をあらわにした。

 会見には、東大地震研究所や北海道大学遺伝子病制御研究所などの所長らが出席した。全国の国立大には、共同利用などの拠点となる研究所が70程度ある。

 文科省への要望では、18年度の研究予算が平均6.6%減となるうち、各大学の研究所が手がけるプロジェクト分については20%減を強いられるとして見直しを求めた。

 会見では、研究成果を測る指標になる学術論文数の伸びは日本全体が10~15年で2%増に対し、共同利用の研究所を活用した論文数は52%も増えたと指摘。こうした研究所が衰退すれば、日本全体の研究力が低下すると強調した。

 東大地震研の小原一成所長は「地震や火山の観測研究をしているが、予算減によって防災への影響が出かねない」と訴えた。

独立行政法人・国立大法人・私大など「無期転換」徹底を

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独立行政法人・国立大法人・私大など「無期転換」徹底を

文科省共産党国会議員団申し入れ

 日本共産党国会議員団は7日、文部科学省が所管する独立行政法人国立大学法人、私立大学などで有期雇用労働者が無期雇用に転換されるのを逃れるための雇い止めが起きないよう、労働者に対して権利について周知徹底をおこなうなどの緊急対策を実施するよう申し入れました。

 申し入れたのは(1)各法人などの労働者に対し無期転換権について、あらゆる手段で周知徹底を行う(2)無期転換ルールを避ける目的で、合理的な 理由のない雇い止めや、6カ月のクーリング(空白)期間の悪用などの脱法行為が起こらないよう、法の趣旨を徹底する(3)各法人などに実態調査を実施する (4)人件費を確保できるよう必要な予算措置を行う―です。

 田村智子副委員長が丹羽秀樹文科副大臣に申し入れ書を手渡しました。高橋千鶴衆院議員は、「4月を前に、大変な規模の雇い止めが懸念される。所管官庁からの指導が必要だ。転換権は申し入れれば発生するが、知らない人もいる」と強調しました。

 田村氏は、理化学研究所の雇い止めについて、「人件費に組み入れることを嫌がっている。文科省の責任で予算確保を」と要求しました。

 吉良よし子参院議員は「私立高校でも有期雇用教員204人の雇い止めが起きている」と指摘し、畑野君枝衆院議員は「文科省からも私学に法の趣旨を示してほしい」と語りました。塩川鉄也衆院議員は、大学側への周知徹底をするよう求めました。

 丹羽副大臣は、「引き続き周知できるようにがんばりたい」と話しました。

火山観測・研究者足りぬ

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火山観測・研究者足りぬ

衆院予算委で塩川氏 高齢化が深刻


 12人の死傷者を出した草津白根山本白根山をはじめ、日本には111の活火山があるのに、火山の観測・研究に従事する「火山の主治医」が足りな い―。日本共産党塩川鉄也議員は9日の衆院予算委員会で、火山の主治医の高齢化と若手研究者が不足している実態を告発しました。

 火山観測は、気象庁とともに大学の観測所が大きな役割を担っています。1月23日の噴火の第一報を入れたのは、東京工業大学の野上健治教授でし た。塩川氏は、野上教授ら火山の主治医が何人いるか、うち40歳未満は何人かと質問。文部科学省は、2016年時点で45人、うち40歳以下は7人だと説 明しました。

 塩川氏が「111の活火山があるのに、大学における火山の主治医が数十人。しかも後継者の若手がいない。火山の観測・研究体制が掘り崩されている大問題だ」とただすと、林芳正文科相は「次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト」で人材育成をしていると答えました。

 塩川氏は「火山の研究にかかわる就職口はあるのか。火山研究を志そうとしてもどうにもできないのが実態だ」と追及。林文科相は「なるべくできる範囲で」と答えました。

 塩川氏は、有珠山噴火の際に北海道大学有珠火山観測所が大きな役割を果たし、死傷者ゼロだった事例を紹介。一方、国立大学の法人化後、東大と北海道大の火山観測所の常駐・常勤の人員がゼロになっている実態を明らかにしました。

 小此木八郎防災担当相は「主治医・専門家の育成は一つの課題。今後協議・研究する」と答えました。

 塩川氏は「予算で示せ。そもそも国立大学法人化後の運営費交付金の削減が、人件費削減につながり、民間資金獲得が困難な基礎研究である火山研究体制にしわ寄せとなっている」と厳しく追及しました。

日航グループJGS 5年雇い止め撤廃 131人無期転換

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北大も雇い止めを撤廃すべきです

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日航グループJGS
5年雇い止め撤廃
131人無期転換 労組の要求実る

 日本航空グループでグランドハンドリング(空港の地上業務)を担う「JALグランドサービス(JGS)」で、契約社員を上限5年で雇い止めにする制度を撤廃し、4月から希望者全員が改正労働契約法に基づき無期契約に転換できることが、16日までに分かりました。

 航空労組連絡会(航空連)加盟のJGS札幌、東京、大阪、九州の各労働組合でつくるグラハン労連の取り組みが実ったもの。契約社員の大部分が働く羽田、成田両空港では、400人のうち4月時点で雇用5年以上となる131人に無期転換権が発生します。

 グラハンの役割は、荷物の積み下ろし、航空機の誘導、機内清掃、体の不自由な乗客の搭乗サポートなど多岐にわたります。安全でスムーズな離発着を支えます。長く働き続けることで培われる経験と連携が重要な仕事です。

 ところが、会社側は2013年4月、契約社員就業規則に「通算契約期間は5年を限度とする」と5年雇い止めを書き入れました。その理由は「労働契約法改正に伴う対応」となっており、5年無期転換ルールを逃れるためでした。

 JGS東京労組は、安定した雇用を確保してこそ空の安全を支えることができると主張。5年雇い止め撤回、無期転換実現を要求に掲げ、13年夏から 団体交渉にのぞみました。無期転換問題を訴えるビラで社内世論をつくりました。15年からは、グラハン労連の統一要求にして会社に迫りました。

 昨年の春闘で会社は、無期転換について検討中として「具体的な内容を提示したい」と約束。年末の団体交渉でJGSグループ各社から「通算契約期間5年限度は撤廃する。希望者は無期転換する」という回答を引き出しました。

 JGS東京労組書記長(グラハン労連事務局長)の安藤雄二さんは、「大企業が法の趣旨に外れる無期転換逃れの脱法行為をしているとニュースにな り、社内の有期雇用の労働者から不安の声が出されていました。JGSで無期転換できる仕組みを勝ち取り、雇用を守った意義は大きい」と強調。「無期転換後 の労働条件改善や正社員化にも取り組んでいきます」と話しました。

 

(しんぶん赤旗 2018年1月17日(水))