エルムの森だより

北海道大学教職員組合執行委員会ブログ

学費問題に関する国会論戦について

1組合員から以下の情報が寄せられました

マスコミで報道されていませんが,大切な国会論戦ですので

掲載します。すいません。ちょっと長いです

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しんぶん赤旗 2014年2月18日付

 

論戦ハイライト

学費無償化は世界の流れ

衆院予算委 宮本議員ただす

 

 17日の衆院予算委員会で、異常高騰する大学の学費問題をただした日本共産党宮本岳志議員。学費無償化の世界の流れに沿った予算の拡充とともに、給付制奨学金の創設を強調しました。

 

 日本政府は2012年9月、大学まで段階的に学費を無償にすることを取り決めた国際人権規約の条項を33年ぶりに留保撤回しました。

 

 それにもかかわらず、日本の学生支援がいかに貧困か—。宮本氏は、OECD経済協力開発機構)加盟34カ国の、授業料無償化と、大学生向けの給付制奨学金の有無を一覧にしたパネルを提示しました。ヨーロッパではほとんど無償化、給付制奨学金とも行われ、無償化が実現していない国も、返済の必要がない給付制奨学金がある事実を示しました。

 

 宮本 授業料無償化もなければ、給付制奨学金もない。奨学金はすべて借金というのは日本ただ一つだ。

 

 下村博文文科相 おおむね、その通り。

 

 宮本氏は、2012年度の私立大学の平均授業料が年約86万円、入学金などを含む初年度納付金は約131万円にもなり、国立大の初年度納付金も標準で約81万円かかる日本の大学の異常に高い学費を告発しました。

 

 諸外国と比べて高い学費の背景には、大学教育に対する予算が少ない問題があります。宮本氏の追及に、下村文科相は、新年度予算案では国立大学運営費交付金を前年度比で3・1%増、私学助成は0・3%増やしたと弁明しました。

 

 宮本 国立への交付金が増えているのは教員給与を減らした分を戻した影響で、法人化後、減り続けている。経常費に対する私学助成の補助割合もピークの29・5%(1980年)から、現在は3分の1の10・4%まで減っている。学費が値上げされるのを手をこまねいて見ているだけだ。

 

 文科相 客観的に見ると厳しくなっている。

 

 宮本氏に数字を突きつけられ、政府も現実を認めました。

 

 

宮本氏 若者は借金漬けに

首相 給付型を検討する

 「わが国の高等教育を受けようとする若者は、莫大(ばくだい)な借金漬けにされてしまった」—。宮本氏は、学費の高騰化、貸付制の奨学金が学生の負担となっている深刻な実態を示し、政府の認識をただしました。

 

 96年に奨学金を借りていた学生(昼間部)は2割だったのが今では、半数にまでなっています(図)。大学の学部卒で300万円、大学院博士課程まで進めば1000万円の借金を背負わされます。宮本氏は、政府が学生の卒業後も「厳しい経済状況におかれている」と認めていることを指摘。昨年の衆院予算委では、日本学生支援機構が厳しい取り立てで若者を自己破産に追い込む実態をあげ、改善を求めてきたとして、「新年度予算案は、いったい何を改善したのか」と追及しました。

 

 下村文科相は「(返済の)猶予制度の制限年数を5年から10年に延長した。延滞金を(10%から)5%と半分にした」などと答弁しました。宮本氏は「それでは不十分だ」と主張。「大学を辞めた」「結婚・出産は考えられない」「死んでしまいたい」など奨学金の返済に苦しむ若者から寄せられた悲痛な叫び(別項)を紹介し、こう追及しました。

 

 宮本 奨学金制度が若者を追い込んでいる。奨学制は返済の必要のない給付型が当然だと思う。

 

 麻生太郎財務相 (公平の観点から)借りた金は返すのが大事だ。

 

 宮本 そんなこといっているから、こんな状況になる。自民党は2012年の総選挙時に「給付型奨学金の創設に取り組む」と公約していた。麻生さんは自民党が不公平を助長する政策を掲げたというのか。

 

 首相 麻生副総理の人生観を吐露(とろ)したもの。たしかに、わが党は給付型の奨学金を検討すると申し上げている。今後、財源を確保していく上で給付型を検討していく。

 

 宮本氏は、新年度予算案には高校生向けの「給付制奨学金」(28億円)が盛り込まれたことを指摘。大企業の減税や米軍むけの「思いやり予算」には何千億円も気前よく出すのに、学生向けにはわずか数十億円も回せないのでは若者に未来は守れないと強調しました。

 

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寄せられた声

 【事例1】失業中です。返済猶予の利用を繰り返してきましたが、もう猶予ができないと言われました。連帯保証人である父に請求が来ています。おじも保証人になっており、迷惑をかけたくありません。自分が死んで支払いを免れるなら、死んでしまいたい。

 

 【事例2】卒業後、就職しましたが、うつ病になって辞めました。減額返還制度を利用しても54歳までかかります。返済額は1万6000円で、延滞すると減額が認められなくなります。とても結婚や出産は考えられません。

 

 【事例3】奨学金という名の借金が増えていくのが怖く、アルバイトを増やせば授業もままならなくなり、大学を辞めました。