エルムの森だより

北海道大学教職員組合執行委員会ブログ

軍学共同について. 大学の研究を軍事活動に直結させてはならない

以下の情報が寄せられました

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軍学共同について,いくつかの新聞が反対あるいは警告の社説を

掲載しています

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琉球新報社説 2015年9月25日付

防衛省研究公募 「軍学共同」の構築許すな

 大学の研究を軍事活動に直結させてはならない。学術が戦争に加担した反省や大学の自治に照らしても、軍事目的の研究は拒否するという姿勢を堅持すべきだ。
 軍事技術への応用が可能な基礎研究に研究費を支給する防衛省の初の公募に対し、国内16大学が応募していた。本紙の調べによると県内大学の応募はなかった。
 防衛省の研究公募は本年度に始まった「安全保障技術研究推進制度」に基づくものだ。公募した主な研究テーマは「小型飛行体実現に役立つ基礎技術」「サイバー攻撃対処」などである。研究成果は装備品の開発につなげるほか、民生分野でも活用されるという。
 直接的な軍事研究でなければ応募は許容されるという見解が大学側にはあるようだが、危機感が薄いのではないか。学者が軍事研究にのみ込まれる可能性がある。大学の自治と学問の自由が侵される恐れもある。大学は慎重に対処すべきだ。財政難を理由とした安易な応募があってはならない。
 県内大学は「教育機関である大学が軍事研究に協力すべきではない」(沖縄国際大学)などの認識を示した。見識に敬意を表する。
 「積極的平和主義」を掲げる安倍政権は、民生技術の積極活用を打ち出している。2013年12月に閣議決定された防衛計画大綱も「防衛にも応用可能な民生技術の積極的な活用」をうたった。
 これらの経緯からして、公募の主目的は大学を取り込んだ軍事研究にあり、「軍学共同」の構築を意図したものというべきだ。そのようなことを許してはならない。
 日本の大学は戦後、軍事研究に距離を置いてきた。戦争に加担した責任を痛感してのことだ。 
 科学者でつくる日本学術会議は1949年の発足に当たり、科学は「文化国家ないし平和国家の基礎である」と定義付け、憲法が定める学問、言論の自由を確保すると誓った。50年には「科学者としての節操を守るためにも、戦争を目的とする科学の研究には、今後絶対に従わない」という決意を表明した。
 いずれも科学者が国策に追随し、戦争遂行に加担した反省を踏まえたものである。その意義は今日も減じてはいない。日本の大学はこの理念に立ち返るべきだ。
 防衛省の公募制度は敗戦から得た教訓を無にしかねない。その危険性を直視すべきである。