エルムの森だより

北海道大学教職員組合執行委員会ブログ

「北海道大学の5年雇い止めルールの撤廃と、非正規職員の無期雇用転換を求める有識者アピール」を集めています


北海道大学の5年雇い止めルールの撤廃と、非正規職員の無期雇用転換を求める有識者アピール」の
賛同者は 215人(3月29日時点、第二次集約)+8人(第三次集約中)です
 
アピールに賛同いただける方は、(3)をご覧になり連絡を
川村雅則 ( masanori@econ.hokkai-s-u.ac.jp ) までお願いします。
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(1)
北海道大学の5年雇い止めルールの撤廃と、非正規職員の無期雇用転換を求める有識者アピール・賛同者(2018年3月29日、第二次集約分)」です。
http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/~masanori/18.03.29appeal


(2)
北海道新聞』の記事です。
「無期転換「雇い止め怖い」 「ルール」開始、企業説明動き鈍く 労働者に不安の声」『北海道新聞』朝刊2018年4月4日付
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/177552
北大の脱法行為と、その撤回を求めるアピール運動にもふれています。

(3)
アピール賛同の次回(第三次)集約日は、5月7日(月)です

北大のなかでも無期雇用転換、雇い止め問題が4月以降も話題になることは間違いなく、
北大は今後、より一層厳しい、社会的な注目を集めることになるでしょう。
その点で、非正規雇用問題がこれまでとは違った文脈でとらえられると思います。
また、労使間でも、団体交渉が5月に開催(再開)されます。

当事者・北大職組はもちろんのこと、5年雇い止めルールは理不尽であると考えておられる
北大の全ての教職員を応援するため、ぜひまわりにおひろめいただければと思います。

※呼びかけの対象は引き続き、大学教員、弁護士の方々になります。
※必要情報は、お名前/(大学教員の場合は)所属と職位・肩書き/お名前の公開の可否となります。
※ご賛同は、川村雅則 ( masanori@econ.hokkai-s-u.ac.jp ) までお送りください。

有期雇用の濫用をなくし、雇用安定社会の実現に向けて、がんばりましょう。
引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。

以下、資料など


<新聞記事にみるこの間の流れ>
○「無期転換「雇い止め怖い」 「ルール」開始、企業説明動き鈍く 労働者に不安の声」『北海道新聞』朝刊2018年4月4日付
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/177552

○「北大の契約職員雇い止め撤回を 弁護士らアピール文」『北海道新聞』朝刊2018年3月17日付
http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/~masanori/18.03.17news
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/172706

○18.03.16「非正規の雇用継続ルール来月スタート 「無期転換」適用外の職場も」『北海道新聞』朝刊2018年3月16日
http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/~masanori/18.03.16news
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/172233

○18.02.16「4月から有期契約労働者の無期雇用転換/企業など対応異なる」『北海道新聞』朝刊2018年2月16日付
http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/~masanori/18.02.16news

○18.02.12「無期雇用 大学も続々/事務職員や非常勤講師待遇改善へ前進」『北海道新聞』朝刊2018年2月12日付
http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/~masanori/18.02.12news

<全国の動向など>
○18.03.08「雇い止め 無期転換逃れ 長崎県立大が撤回 労働局指摘」『毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180308/ddm/041/040/060000c

○18.03.21「雇い止め「撤回を」 女性職員、静岡県労働委にあっせん申請」『静岡新聞
http://www.at-s.com/news/article/social/shizuoka/470290.html

○18.03.22「<東北大雇い止め>東北18国公立大の無期雇用転換ルール 東北大のみ実施せず」『河北新報
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201803/20180322_13010.html

○18.03.26「「雇い止め」に相次ぎ訴え 各地で大学と教職員が対立 4月から無期転換ルール適用で」『産経新聞
http://www.sankei.com/life/news/180326/lif1803260007-n1.html

<学習教材>
○『なくそう!有期雇用 つくろう!雇用安定社会(無期雇用転換パンフレット)ver2.0』2018年1月発行
http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/~masanori/18.01labour02

○『なくそう!有期雇用 つくろう!雇用安定社会(無期雇用転換パンフレット)ver1.0』2017年10月発行
http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/~masanori/17.10labour

<その他の大学関連記事>
○異見交論40「国立大学法人化は失敗だ」山極寿一氏(京都大学学長)
http://kyoiku.yomiuri.co.jp/torikumi/jitsuryoku/iken/contents/40-2.php


 

長崎労働局が長崎県立大学の無期転換逃れ,認めず

以下の情報が寄せられました

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◆ 長崎労働局が長崎県立大学の無期転換逃れ,認めず

  是非ご覧ください。

  https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180308-00000004-mai-soci

北海道大学の5年雇い止めルールの撤廃と、非正規職員の無期雇用転換を求める有識者アピール運動が始まりました。

◆ 北海道大学の5年雇い止めルールの撤廃と、
  非正規職員の無期雇用転換を求める有識者アピール運動が始まりました。

  呼びかけの対象は、大学教員と弁護士となっています。
  呼びかけ人の一人である川村雅則さん(北海学園大学教授)から
  メッセージが寄せられました。

  メッセージなどは組合ホームページをご覧ください。
  http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kumiai/

  アピール
  http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/%7Emasanori/18.03appeal

  緊急です。アピールへの賛同をお願いします。あわせて、各方面に
  おしらせください。



「雇用上限が5年であること」に関する質問書に対する大学からの回答と執行委員会見解を出しました。

◆「雇用上限が5年であること」に関する質問書に対する大学からの
  回答と執行委員会見解を出しました。

  2月27日の回答に対して執行委員会として総括的な見解と個別の
 質問に対する回答、見解をまとめましたのでご覧ください。

 http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kumiai/17/kenkai20180309.pdf



理研が非常勤職員を「大量雇い止め」で上がる現場の悲鳴 波紋はどこまで広がるか

以下の情報が寄せられました

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理研が非常勤職員を「大量雇い止め」で上がる現場の悲鳴
波紋はどこまで広がるか

現代ビジネス 2017.12.25 田中 圭太郎
   国内最大の研究機関「国立研究開発法人 理化学研究所(以下、理研)」の非常勤職員が、
2018年の3月末以降、大量に雇い止めされることになった。最先端の研究発表や研究事務
を長年支えてきた職員たちが、一方的に導入された就業規則によって、職場を去らなけれ
ばならないのだ。

理研は物理学、工学、化学、数理・情報科学、計算科学、生物学、医科学など幅広い分野
で研究を進める、日本唯一の自然科学の総合研究所。1917年に財団法人として創設され、
株式会社、特殊法人を経て、2003年に文部科学省所管の独立行政法人として再発足。2015
年に国立研究開発法人理化学研究所となった、100年の歴史がある日本を代表する研究機
関だ。

その理研が、非常勤職員の契約期間を5年上限とするルールを導入したのは、2016年3月の
ことだ。非常勤職員たちは戸惑い、労働組合とともに反対の声をあげたが、さらに彼らを
混乱させたのが、理研が交渉の中で、雇い止めをする明確な理由や、人数を明らかにしな
かったことだ。

雇い止めの期限が来年3月末に迫るなか、交渉にまともに応じようとしない理研の態度に
労働組合は憤り、今月18日、東京都労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てた。

理研の雇い止めは、「改正労働契約法」の趣旨に反する恐れがあると同時に、研究者の将
来や、他の独立行政法人にも大きな影響を及ぼす可能性がある。問題点をリポートする。



12月18日、来年3月末で理研を雇い止めされる非常勤職員6人が、労働組合とともに厚生労
働省で記者会見を開いた。内訳は、60代の男性1人と、30代から50代の女性5人。全員が6
年以上勤務している。「雇い止めに納得できない」と涙を流しながら訴えたのは、40代の
女性だった。

「雇い止めを禁止するような法律がこの国にはある。にもかかわらず、どうして理研が決
めたルールで雇い止めになるのか、理解できません」

この女性が指摘している法律とは、2013年4月に施行された改正労働契約法のことだ。簡
潔に言うと、非正規の労働者を5年以上同じ職場で雇う場合、本人が希望すれば、原則
「無期雇用」にしなければならないことを定めている。この法律に基づけば、会見した6
人は、2018年4月以降、「無期雇用」を申し込む権利が発生するはずだった。

ところが理研は、独自に決めたルールによって、それを阻止しようとしているという。

理研の研究の下支えをしている非常勤職員には「アシスタント」「パートタイマー」「事
務業務員」といった職種があり、職員のほとんどが女性だ。もともと契約期間に上限がな
く、1年契約を毎年更新し、10年以上働き続けてきた職員も多い。過去に半年以上の休業
期間をおいて、再雇用されているケースも少なくない。

こうした実態があるにもかかわらず、理研は2016年3月、労働組合や労働者代表の反対を
押し切って、契約期間の上限を5年と定めた。それも、「2013年4月の契約」に遡って適用
し、「2018年3月で雇い止め」と決めたのだ。



労働者の無期雇用申込権を阻止するために、契約期間の上限を5年とすることは改正労働
契約法の趣旨に反すると、筆者は過去の記事でも指摘してきた。

たとえば東京大学でも同じ問題が起きていたが、結局東大は労働組合との話し合いの末、
雇い止めを撤回。5年以上働く非常勤職員らを「原則、無期雇用に転換する」方針を決め
た。(詳しくは『東京大学で起こった、非常勤職員の「雇い止め争議」その内幕』)

理研も「すべての対象者を雇い止め」にするわけではなく、無期雇用の職種「無期雇用ア
シスタント」を作り、この試験に合格した職員は「無期雇用にする」として、2016年から
試験を開始。2016年は74人、2017年は47人が合格。2017年は少なくとも100人ほどが不合
格になったとみられる。

このように「無期雇用に転ずる制度を作ったのだから、これで問題ないだろう」という姿
勢なのかもしれない。しかし理研は、そもそも不合格だった人が何人いたのかを明らかに
していない。不合格になった職員は点数も明かされず、なんの説明も受けていないという。

さらに職員が不審に思っているのは、試験を受けた職員のなかでも、特に、長年勤務して
きたベテランの職員が「不合格」になっている傾向がみられることだ。

「私も受けましたが落ちました。長く勤務されて、仕事を十分に理解している方も不合格
になりました。なぜ雇用してもらえないのか、理解できません」(40代・女性)

理研は、雇い止めする人数も組合や職員に説明していなかったが、その数字は12月になっ
て、意外なところで明らかにされた。この問題が国会でも議論されたためだ。参議院内閣
委員会に提出された資料では、理研には非常勤職員が4209人在籍し、そのうち496人が201
8年3月に契約期間が終了すると記されていたのだ。



理研労働組合と、上部団体の科学技術産業労働組合は、団体交渉で雇い止めの人数や、
理由などを明らかにしないのは「不誠実団交」だとして、12月18日、東京都労働委員会
不当労働行為の救済を申し立てた。

組合は、理研が行う雇い止めから非常勤職員を守るために申し立てを行なったが、他にも
危惧していることがある。

その1つは、多くのベテラン職員が大量に雇い止めされることで、研究業務が滞ってしま
うことだ。実際に、各研究室からもベテラン職員がいなくなることで研究に支障がでる、
と困惑の声があがっているという。団体交渉の場で組合が「研究に支障がでるはずだ。そ
こは大丈夫だと考えているのか」と質すと、理研から返ってきた言葉は「自信がない」だ
ったという。

もう1つの危惧は、この雇い止めが非常勤職員にとどまらず、将来的に研究者にも及ぶ可
能性がある点だ。改正労働契約法は、2014年4月に特例が設けられている。その内容は、
「大学等及び研究開発法人の研究者、教員等については、無期転換申込権発生までの期間
を原則5年ではなく、10年」としているものだ。

組合によると、理研で無期雇用されている職員・研究員は600人で、無期雇用の研究者の
募集は長い間行なっていない。その一方で、有期雇用、つまり非常勤の研究員は約2000人
もいるという。

今回の職員の雇い止めがまかり通れば、労働契約法の改正から10年を迎える2023年4月ま
でに、今度は2000人の非常勤研究員の多くを雇い止めするルールが導入される可能性が否
めないのだ。

「非常勤職員の大量雇い止めにより、理研全体のパフォーマンスが低下し、研究レベルは
下がらざるをえません。いまの経営陣は研究の現場を知らないのです。さらに今後、研究
員の雇い止めが起きてしまったら、日本の自然科学研究の未来はないでしょう」(組合関
係者)



筆者は理研に対し、雇い止めは労働契約法の趣旨に反するのではないかと質問した。その
回答は雇い止めを正当化するものだった。以下回答を掲載する。

理研においては、多くの職員が時限プロジェクトに従事しており、この時限の到来によ
り改廃され得るプロジェクトを遂行するため、その財源で雇用される職員については有期
雇用が基本と考えている。
さらに、有期雇用を適切かつ効果的に活用し、研究系人材の流動化を促進するという社会
的な使命を果たしていく観点から、適切かつ効果的に、また労働法制の下で有期雇用の運
用を図ることは重要であり、そのため、任期制職員の雇用期間に関し関係する規定におい
て雇用上限の明確化を明示したものである」(原文のまま)

理研は「研究系人材の流動化を促進する」ことは「社会的な使命」だと回答し、「雇い止
め」を正当化している。しかし、「労働法制の下で有期雇用の運用を図ることは重要」と
あるが、労働法制の下で、と言いながら契約期間を5年上限とすることは、無期雇用化を
促す改正労働契約法の趣旨と矛盾するのではないか。

組合側の弁護団は、理研が契約期間の上限を導入したことは、「改正労働契約法の脱法行
為」であると同時に、必要性と合理性がない不利益変更であり、違法と指摘している。
「無期雇用アシスタント」の試験が、実態として長く働いた人を落とすための試験になっ
ているのではないかということも、違法性が疑われると話している。

さて、東京都労働委員会の審査は年明けから始まる。しかし、雇い止めが起きる2018年3
月末までに理研の態度が変わらなければ、組合側は新たな法的措置も検討しているという。

理研の雇い止め問題の行方は、理研だけで終わる問題ではない。独立行政法人全体に影響
を及ぼす可能性があることを指摘しておく。

先述した参議院内閣委員会で示された資料では、各省庁が所管する独立行政法人の非常勤
職員が、2018年3月にどれだけ雇い止めされるのかが初めて明らかにされた。その人数は、
理研も含めて少なくとも4700人。上限付きの契約となっている非常勤職員は3万人もいる。
このままでは多くの人が異を唱えることができないまま、無期雇用申込権を得られなくな
ってしまう可能性があるのだ。

日本の研究基盤を揺るがす問題が起こっていることに、注視しなければならないだろう。

<東北大雇い止め>地位確認求め労働審判申し立てへ

以下の情報が寄せされました

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河北新報 2018年01月27日土曜日

<東北大雇い止め>地位確認求め労働審判申し立てへ

 東北大が3000人規模の非正規職員を3月末から順次雇い止めにする問題で、雇用継続が見込めない見通しの非正規職員らの一部が2月初旬にも、同大に地位確認を求める労働審判仙台地裁に申し立てる方針を固めたことが26日、分かった。
 同大には、通算勤務期間が5年超の非正規職員が約1050人在職。同大は4月、業務や勤務時間を制限した上で無期雇用に転換する「限定正職員」制度を導入する予定だが、既に実施した採用試験では669人しか合格していない。
 申し立て予定の非正規職員側は「当然、雇用継続を期待した。新制度の導入は無期転換をできるだけ発生させないためにほかならず、雇い止めに合理的な理由はない」と主張している。
 弁護団によると、申し立ては数人で始め、随時追加を受け付ける。
 2013年4月施行の改正労働契約法は、18年4月以降に非正規労働者の有期契約が更新を重ねて通算5年を超えた場合、労働者の希望に応じて無期雇用に転換できると定める。
 同様の雇い止めを巡り、宮城大や山形大でも大学側と職員組合の団体交渉が続いている。

没落する地方国立大の何とも悲惨な台所事情、 個人研究費年50万円未満の教員が6割

以下の情報が寄せられました

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週刊東洋経済オンライン 2018年02月05日

没落する地方国立大の何とも悲惨な台所事情
個人研究費年50万円未満の教員が6割

西澤 佑介 : 東洋経済 記者

日本の大学が危機に瀕している(イラスト:門川 洋子、デザイン:新藤真実)

岡山大学で免疫細胞を研究する田中智之教授の研究室には、計15人の学生が所属する。

「僕らぐらいの陣容の研究室だったら最低限の実験機材、試薬代などで年間500万円はないと回らへん」(田中教授)。だが、大学から定期支給される 研究費(運営費交付金に基づく講座費)はたかだか年50万円しかない。日本学術振興会の競争的資金制度である科学研究費(科研費)助成事業に応募したり、 民間の科学研究助成財団からかき集めたりするが、十分な資金を安定的に確保するのはなかなか難しい。

地域の人材輩出機関としての権威からほど遠い

地方国立大学は「地域の雄」である。通う学生の多くは、地元でもよりすぐりの進学校から入学し、卒業後は地域のエリートとして地方の産業や行政を支える。しかし、今の地方国立大学を取り巻く現状はそんな地域の人材輩出機関としての権威からはほど遠いものだ。

2月5日発売の『週刊東洋経済』は、「大学が壊れる」を特集。資金不足で疲弊する国立大学や、18歳人口の減少でいよいよ淘汰の時期を迎えた私立大学の実情を特集している。

文部科学省が2016年7月に行ったアンケートで、国立大学教員の窮状が明るみになった。所属機関から研究者に支給される個人研究費は、「50万円 未満」と答えた教員が6割にのぼったのだ。「年の終わりになる11月~12月頃になると、研究資金が底をついて開店休業状態になるラボが続出する」と、取 材に答えたある地方国立大学理系学部の教授は話す。

研究に要する金額が大きい理系学部において、これは深刻な事態を生む。「研究室配属になった学生は、教員たちと一緒に研究をすることが教育にもなる。したがって開店休業状況では学生の教育すらできなくなる」(同教授)。

どうしてこうなったのか。

多くの国立大教員は2004年の国立大学の独立行政法人化が転機になったと話す。国は、国立大学へ定期配分する基盤的予算(運営費交付金)を年々削 減し、研究資金は公募・審査を通じた競争的資金で取ってくる形に変わった。しかも、その競争的資金の配分は、しばしば最新機器があって人数の多い大規模研 究室や、学会の有力者がいる研究室に有利となるバイアスがある。結果として、研究資金は東大・京大など一握りのトップ大学に過度に集中する形となった。

他方で地方国立大学は、運営費交付金削減の影響をもろに被って、教員の新規採用凍結(定年などで退職した教員のポストの不補充)や、個人研究費の削 減を余儀なくされた。教員は減っても、授業は既存の教員が受け持たなければならないので、教育負担は増えて研究時間は減った。このように資金面でも時間面 でも研究しにくい環境になった。

カネに窮する国立大学は、そして何のために行うのかわからないような「大学改革」に乗り出す。たとえばカリキュラム変更や、グローバル化対応を目的とした頻繁な改組、新学部の開設などである。

名目としては、世の中の変化に対応して大学の社会的存在感を高めるためであるが、文科省から改革に関する補助金を得られるからという事情も大きい。 それがまた、改革を本質的でないものとし、教員達は関連する学内事務に膨大な時間を割かれることになり、疲弊ぶりを深めてしまう逆効果になっているのであ る。

国立大学の科学研究論文は10年前から2620本減

日本の研究力の低下が叫ばれている。科学論文数の世界シェアの順位は主要先進国の中で日本だけが顕著に落ちている。文部科学省 科学技術・学術政策研究所「科学研究のベンチマーキング2017」によれば、2013~2015年における国立大学の科学研究論文は3万1850本と10 年前から2620本減、8%減となっている。


ドイツが代表例だが、欧米では比較的層の厚い中堅上位校が論文生産量と研究の多様性を担保している。日本の改革は、中堅層の大学を没落させる結果となった。

競争原理による集中は、マクロで見ても研究力を強くはしなかった。週刊東洋経済が2月5日発売号の特集で国立大学における研究費と論文の生産性を独自に調べてみたところ、一握りの上位大学だけに資金を過度に集中させても論文の生産性は結局上がらないこともわかった。

日本国内で産み出される論文の半分は、国立大学に所属する教員たちによるもの。研究力の低下を突きつめれば、科学研究の担い手である国立大学の疲弊が表面化したものであるといえる。