エルムの森だより

北海道大学教職員組合執行委員会ブログ

軍事研究の公募 制度の見直しが必要だ

 
 
以下の情報がよせられています。
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 国立天文台が軍事応用可能な基礎研究の公募制度に応募するかどうかで揺れている。防衛省が四年前から始めた制度だが、応募が減少し、今年は再募集するほどで、曲がり角を迎えている。
 防衛省は二〇一五年度に安全保障技術研究推進制度を創設した。近年、軍民両用技術が広がり、大学などの研究者と研究成果を取り込むのが狙いだ。
 しかし、戦争の反省から一九五〇年に日本学術会議は「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」という宣言を発表。同制度についても、懸念を表明する声明文を公表した。「応募しない」と決めた大学も少なくない。
 天文台も三年前に教授会議が同制度に「応募しない」と決めた。だが、七月の教授会議で執行部が方針の改定案を示したことが、本紙の報道で明らかになった。
 同制度はスタートの二〇一五年度は予算三億円で、百九件の応募があったが、翌年は予算六億円で四十四件に激減。一七年度から予算は百億円超になったが、応募は百四件、七十三件、五十七件と減少傾向が続く。中でも最大で五カ年、二十億円の研究費が付く大規模研究課題は本年度、大学や公的研究機関からの応募はゼロ。防衛装備庁はウェブサイトで、二次募集を始めた。
 サイトには研究成果の概要も紹介されている。一七年度終了の研究課題十一件を見ると、総額で一億円を超えるものが六件あるが、論文の発表実績は一件が三課題、ゼロが五課題もある。
 財務省は論文の生産性という言葉を使って大学の研究費を抑え、研究テーマや配分先の選択と集中を図っている。その論理からすれば、安全保障技術研究こそ、見直すべきだろう。
 天文学は基礎研究の最たるものだ。今年一番の成果は四月に発表されたブラックホールの写真である。南極大陸や南米チリなど世界の八つの電波望遠鏡が連携して成功した。記者会見は世界同時で、日本でも行われた。
 今月初めには米IT企業の創業者らが創設したブレークスルー賞(賞金約三億円)の受賞が決まった。受賞者の中には国立天文台の本間希樹教授ら日本人研究者約二十人が含まれている。国際的な研究で主役を務めることも重要なことではないだろうか。
 安全保障研究予算約百億円を文部科学省の研究費増に充てる。そうした政策の切り替えが必要だ。

「『骨太方針 2019 』に明記された 国立大学法人での学長選挙廃止の方針に強く反対します」(全大教中央執行委員会声明)

 既に北大職組のWebサイトには掲げられている情報ですが、今年6月21日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2019~『令和』新時代:『Society 5.0』への挑戦~」(骨太方針2019)の中に、次の文言があります(70ページ)。

 

「国は、各大学が学長、学部長等を必要な資質能力に関する客観基準により、法律に則り意向投票によることなく選考の上、自らの裁量による経営を可能とするため、授業料、学生定員等の弾力化等、新たな自主財源確保を可能とするなどの各種制度整備を早急に行う」

 

 意向投票をなくしてしまおうという政府のこのような動きは、大学という組織体のあり方として全くふさわしくないと言わざるをえません。知的探求が全面展開することが望ましい大学という場では、個々人の自発性・主体性が何よりも尊重されるべきであり、それは大学のトップたる学長の選考においても全く同様である(べきだ)からです。

 

 そこで、本記事の標題にあるとおり、全大教(北大職組も全大教に加入しています)は、学長選挙廃止の方針に反対する声明を8月22日づけで発表しました。我々北大職組もこの声明を全面的に支持します。

大学の危機をのりこえ、明日を拓くフォーラム

「大学の危機をのりこえ、明日を拓くフォーラム」を社会へのよびかけ

 1.いま、大学はさまざまな危機に直面しています 

  大 学の使命は、高等教育をつうじて学生に豊かな学びと人生の選択の機会を保障し落ちついた自由な環境のもとで多様で独創的な研究成果を生み出すという知の 創造と継承によって、明日の社会づくりに貢献することにあります。しかし、大学はいま、これらの使命を果たすことを危うくするような、深刻な危機に直面し ています。 



基盤的経費の削減による教育研究の土台の弱体化

第一の危機は、学術研究や高等教育の基盤を支える教育研究費が年々削減され、教育・研究をこれまでの水準で続けることさえ困難になっていることです

国立大学の基盤的な経費である運営費交付金は、法人化が行われた2004年度以降系統的に削減され、2018年度には当初の約88.2%にまで落ち込んでいます。 

私立大学に対する助 成も、「経常費の2分の1補助の速やかな達成を目指す」とした国会決議(1975年)にもかかわらず、1980年度の29.5%をピークに低下の一途をた どり、今では10%を割るに至っています。その結果、研究費が大幅に削減されたり、教育・研究に不可欠な定期刊行物の購読打ち切りを余儀なくされたりする などの状況が広く生まれています。人件費に充てることのできる安定的な経費が減っているために、教員が退職しても後任の採用ができず、その分野の研究者が 不在となることが少なくありません。若手研究者のポストも、任期のついた不安定なものが大半となりました。少なくない大学で、これまでには見られなかった ような教職員の一方的な雇い止めや解雇さえ横行しています。これらのことは、学部・大学院の教育や研究に打撃を与えるとともに、研究者をめざす人びとを減 少させ、大学のもっとも重要な役割のひとつである多様な学問の継承を危うくするという結果をもたらしています。

このような中で、研 究資金の配分のあり方をつうじて研究の方向性が歪められ、結果として研究の質と量の低下すらもたらされています。政府は、大学を競争的環境に置くことこそ が大学を活性化させる鍵だとして、運営費交付金を削減する一方、競争的な研究資金や寄付金などを「自ら稼ぐことのできる大学」になることを求めてきまし た。そのさい、大学を日本経済再生のための「科学技術イノベーション」の拠点にするという観点から、「選択と集中」という考え方にもとづいて研究資金を重 点的に配分する方向を強めてきました。 

その結果、(1)人文・社会科学系よりも自然科学系、(2)基礎研究よりも応用研究、(3)長期にわたる研究が必要なテーマより短期的に結論が出そうなテーマ、が重んじられる傾向にあります。各大学における教育研究費の配分にも、このような傾向が反映しています。 

 このような政策の端的な帰結が、科学論文の量も質も低下し、国際的な順位を大きく落としていることに表現される「研究力」の低下、 とくに基礎研究の基盤の弱まりです。科学者自身だけではなく、社会の各方面から危機感をもって受け止められているこの問題の背景には、任期つきという不安 定なポストが増え、研究費が減少するなかで競争的な研究資金の獲得に追われ、研究内容もすぐに成果の出やすいものに傾きがちになっているなどの事情がある ことについても、大方の認識は一致しています。 

 不断の「改革」の押しつけによる大学の疲弊

第二の危機は、不断に「改革」を求めるかけ声のもとで、「大学ガバナンス」改革と称して大学にはふさわしくないトップダウン型大学運営が強化され、結果として大学全体が疲弊するに至っていることです。

国立大学では、大学 の自主性を高めるはずのものだった国立大学法人制度のもとで、上記のように基盤的経費である運営費交付金を漸減させて競争的資金などへの依存度を高めなが ら、政府が組織のあり方や人事制度についての「改革」の方向づけを与え、その方向づけに沿って「改革」を実行しているかどうかを評価し、評価にもとづいて 資金配分に差をつけるといくというやり方が、年々緻密化されてきました。大学内部では、そのような評価と資金配分のやり方に迅速に対応するために、学長を 中心とする大学執行部に権限を集中することが推奨され、学内における熟議と合意がおろそかにされています。

その結果もたらされ ているのは、目に見える数値化された目標の短期的な達成に慌ただしく追われる大学の姿です。このような企業的な「大学ガバナンス」のあり方は、多様な役割 をもち、成果がすぐには目に見えにくい大学における教育研究の性格、教育・研究の専門家集団としての教員が、一生涯にわたる学びの一過程にある学生や職員 とともに作り上げる大学のあり方にふさわしいものではなく、むしろ大学全体を疲弊させるものとなっています。

短期的な評価にもと づいて財源措置を不安定化させるこのような方向性をいっそう強化することに対して、国立大学協会は2018年11月、「国立大学法人制度の本旨に則った運 営費交付金の措置を!」と題する声明を出し、「高等教育及び科学技術・学術研究の体制全体の衰弱化さらには崩壊をもたらしかねないものであって、国立大学 協会としては強く反対せざるを得ない」と明確に主張しています。

しかも、財政誘導による「改革」の加速化とトップダウン型大学運営という手法は、それが適切なものだったか否かについての検証もなされないままに、国立大学から私立大学へと広げられようとしています。 

2.明日に向かって問われるべきことは何でしょうか? 

 それでは、基盤的な教育研究費を確保し、研究資金配分の歪みをただし、大学全体の叡智を結集した大学運営のあり方を回復することをつうじて大学の危機を克服しつつ、明日に向かって問われるべきことは何でしょうか? 

大学が大学である以上は備えるべきものは何かを踏まえながら、それぞれの大学が歩む道を自主的に定める

第1に、以上のよう な「改革」が推し進められている背景には、まがりなりにも中長期的な広い視野から大学政策を立案する役割を担ってきた文部科学省中央教育審議会の地位が 低下し、首相官邸に政策形成に中心が移っているという事情があります。そのため、「科学技術イノベーション」の拠点、あるいは「地方創生」の拠点として大 学を位置づけるというように、経済政策的視点に傾斜した大学政策が次々に打ち出されてきました。その結果、大学間格差が広がり、広がった格差は国立大学で も私立大学でも大学の事実上の「類型化」として固定化されようとしています。それぞれの大学が自らの判断で特色を打ち出すことは必要です。しかし、政策に よって鋳型にはめようとすることは、大学のもつべき多様な役割、それぞれの個性を軽視することにつながりかねません。

 2018年9月、日本私立大学連盟は「高等教育政策に対する私大連の見解」を発表し、「私立大学の『特性』と『自主性』を損なうこ とになりかねない高等教育政策が相次ぎ提示されている」と警告を発しています。重要なのは、大学が「学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専 門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする」(学校教育法)ことを改めて想起し、多様性を超えて、「大学が大学であ る以上は備えるべきものは何か」、ということを改めて考えることではないでしょうか。

  大学における学びの場を量的にも質的にも確保し、学費負担の軽減によって機会均等を保障する

 第2に、大学進学率はすでに十分なほど高くなったというわけではありません。短大を含む大学進学率は57.9%(2018年)に達 していますが、地域差が大きく、4年制の進学率では女子の方がかなり低いのも日本の特徴です。充たされていない進学への希望が少なからず残されているので す。社会人の学びなおしの要求もあります。したがって、18歳人口の減少という見とおしを安易に大学の淘汰に結びつけるのでなく、学びの場を量的に確保し てゆくことがなお必要です。量を確保すると同時に、大学進学率50%以上といういわゆるユニバーサル段階に入った大学教育はどのような質をもったものであ るべきか、それをどう確保するかについて、これからの社会のあり方と知のあり方をグローバルな視野で見とおしつつ、真剣に検討することも不可欠です。その さい、学生と家族が重い学費負担を強いられていることを直視しなければなりません。親からの仕送りは減り、アルバイトへの依存度が高まっています。有利子 のものを中心とした奨学金受給者の割合が上昇する一方、雇用形態が不安定になる中で、返済に苦しむ人びとも増加しています。

 大学進学をあきらめた理由のひとつとして挙げられているのが経済的負担の大きさであることに見られるように、学費負担の軽減は、高等教育への機会均等という観点からも喫緊の課題です。 

 高等教育の費用は誰が負担すべきかを根本的に考え、公的支出の水準を引き上げる

第3に、「改革」を 論じるさいに、財政的制約が当然のように前提とされることが少なくありません。しかし、財政は未来に向けて何を重視するのかという選択の問題です。しか も、日本は高等教育に対する公的支出が国際的に見ても低いままにとどまり、個人負担の大きな国に属しています。充実した教育、そして研究には、費用がかか ります。公的支出の水準を引き上げ、そのための財源について、真剣に議論されなければなりません。 

 これらのことを、社会の変化とその方向を見とおしつつ、大学のはたすべき役割の根本に立ち返って問うことが求められています。 

3.国公私の別を超えて、社会とともに大学の今と明日を考え、行動するための「フォーラム」を 

 大 学をめぐる課題は多岐にわたり、いずれも深い省察を求めるものです。しかし、個々の大学は、「競争的環境」の中で大学政策の求める要請に応じることに日々 追われています。大学政策に疑問があっても、それを形に表わし行動することが困難になっています。国立大学のあいだでも、置かれた条件の違いが拡大し、共 通の主張をまとめることは容易ではなくなっています。そのことは、私立大学ではいっそう強く当てはまります。だからこそ、国公私を超えて、大学の直面する 危機と課題にどのように立ち向かうかを議論する場が必要です。

 一方、大学はどのような問題を抱えているのかについて、大学人の認識と社会の認識とのあいだにはズレがあることも否定できません。 

大学人は大学の現状を社会に向かって伝えるとともに、これまでの自らのあり方についても真摯に反省し、社会は大学に対する疑問や期待を率直に語り、相互理解をめざすことが不可欠です。

 このような状況に立ち向かうために、私たちは、大学の今と明日を考えるための議論を持続的に行なうための場として、「大学の危機を のりこえ、明日を拓くフォーラム」を設けたいと考えています。この「フォーラム」は、大学の現実を率直に見つめるとともに、明日に向かって確実に歩むため の道をじっくりと探り、社会に発信していきます。個別大学を超え、国公私立という設置形態を超えて共通の関心を育て、立場や意見の違いにもかかわらず一致 できる要求を明らかにすること、大学関係者だけでなく、受験生や大学生をもつ親の皆さん、中等教育関係者や、大学と広く市民社会とをつなぐメディア関係者 などともいっしょに考え、政策を転換するために行動することをめざします。


「大学の危機をのりこえ、明日を拓くフォーラム」発起人(五十音順)


井原 聰(東北大学名誉教授/日本科学者会議事務局長)
小沢 弘明(千葉大学副学長)
梶田 隆章(東京大学宇宙研究所長)
黒田 兼一(明治大学教授/前明治大学職員組合執行委員長)
小森田秋夫(神奈川大学教授/元日本学術会議第一部長)
中嶋 哲彦(名古屋大学教授/全国大学高専教職員組合中央執行委員長
丹羽 徹(龍谷大学教授/前日本私立大学教職員組合連合中央執行委員長
広渡 清吾(東京大学名誉教授/元日本学術会議会長)
増田 正人(法政大学常務理事・副学長)
【連絡先: E-mail:univforum7@gmail.com

大学予算の削減に関するフォーラム(続報)

毎日新聞 2019年2月13日
「大学の危機を考えるフォーラム」発足 政府「改革」策の問題指摘

 国内のノーベル賞受賞者らが、基盤的経費の削減などの大学が抱える問題を国公私大の枠を超えて考える組織「大学の危機をのりこえ、明日を拓(ひら)くフォーラム」が13日、発足した。3月31日に東京都千代田区の明治大でシンポジウムを開く。

 東京都内で開かれた記者会見で、広渡清吾・日本学術会議会長は、基盤的経費の削減で教育研究が弱体化し、国立大法人化などの政府による「改革」の押し 付けで、「大学が悲鳴を上げつつある」と指摘。大学に対する公的支出を増やし、学生の学費負担を軽減するなど「大学が直面する危機と課題を、大学人と市民 が広く話し合いたい」としている。

 また、呼びかけ人の一人で2000年にノーベル化学賞を受賞した白川英樹・筑波大名誉教授は、「私は大学では基礎に限った研究をやってきたが、ノーベル賞につながるような研究は今のような環境では無理だ」と窮状を訴えた。【酒造唯】

 

大学危機訴えるフォーラム

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時事.com  2019年02月13日19時51分

大学危機訴えるフォーラム=ノーベル賞学者ら設立

 ノーベル化学賞を受賞した白川英樹筑波大名誉教授や日本学術会議元会長の広渡清吾東京大名誉教授らが13日、文部科学省で記者会見し、「大学の危機をの りこえ、明日を拓(ひら)くフォーラム」を設立したと発表した。大学の予算削減が続き、教育研究の土台が弱体化しているとして、政府の政策転換を目指す。
 フォーラムは国公私立大の研究者や名誉教授ら約50人が呼び掛け人となった。3月31日に東京都千代田区の明治大で無料シンポジウムを開き、呼び掛け人 の一人の梶田隆章東大宇宙線研究所長(ノーベル物理学賞受賞者)が基礎科学の持続的発展を、山本健慈和歌山大前学長が地方国立大の現状を訴える。
 白川氏は「小中高校生向けの講演や実験教室に取り組んできたが、高等教育、高度な研究が衰退を始めたという懸念を拭い切れない」と話し、ノーベル賞につ ながる研究を現在の大学の環境でできたかとの質問には「無理です」と答えた。(2019/02/13-19:51)

運営費交付金の配分法に異変あり

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しんぶん赤旗 2019年1月24日

国立大の基盤崩す

国大協会長 19年度予算案批判

 国立大学協会の山極壽一会長(京都大学総長)は23日、2019年度予算案についてコメントを発表しました。大学の規模や学部の種類で配分される 国立大学法人運営費交付金(1兆971億円)のうち1000億円を、政府の評価基準などで傾斜配分しようとしていることについて「国立大学法人の財政基盤 を不安定にするものであり、極めて残念」と批判しています。

 同交付金をめぐって安倍政権は、各大学に配分した交付金から一定額を拠出させ、学部などの再編・統合といった「機能強化」の達成度合いで再配分す る仕組みを16年度に導入。短期的評価による不安定な財源措置によって大学運営に困難をもたらし、研究力低下の原因になっているとの批判があがっていま す。

 財務省財政制度等審議会は昨年10月、傾斜配分する額を交付金の10%に拡大するよう提言。国大協は「高等教育及び科学技術・学術研究の体制全体の崩壊をもたらしかねない」と反対する会長声明を発表したものの、安倍晋三首相の指示で押し切られる形になっていました。

 23日に開かれた国大協の総会では「(政府の評価基準には)教育に関する評価の観点が全くない」(徳久剛史・千葉大学長)、交付金を切り崩していくという思考が政府の根底にある。これが一番の問題だ」(島田眞路・山梨大学長)との意見が相次ぎました。

交付額内示遅れ 計画に支障

 例年年明け前にされる国立大学法人運営費交付金の各大学への交付額内示が大幅に遅れています。交付金は人件費などに充てられる国立大学の基盤的経費。国立大学関係者からは「来年度の計画が立たない」との声があがります。

 文部科学省は内示の遅れについて、来年度から実施しようとしている交付金の「評価対象経費」の配分方法が決まらないことを理由にあげます。

 評価対象経費は、交付金のうち700億円を外部資金獲得実績や若手研究者比率といった評価基準に基づいて傾斜配分するもの。本来、大学の規模や学部の種類で配分すべき交付金を、大学間で奪い合う「競争的資金」にいっそう変質させるものです。

 国大協はじめ大学関係者が強く反対したものの、19年度予算案の閣議決定直前の昨年12月20日に開かれた「総合科学技術・イノベーション会議」 で、安倍晋三首相は19年度から交付金の1割を「経営改革」に取り組む大学に傾斜配分すると明言。官邸主導で予算案に盛り込みました。傾斜配分の総額は 16年度から実施している「機能強化経費」の300億円とあわせて1000億円に上ります。

 ただ、大学側からの批判を受け、文科省は来年度については各大学の交付額が大きく変動しないようにすると説明してきました。内示の遅れの背景に、傾斜配分を主張する財務省の影響があるとの指摘もあります。

 ある大学関係者は「前年度から交付額が大きく変われば人事採用や研究計画にも影響が出てくる」と懸念。別の大学関係者は「国が示す評価基準は教育 研究とは関係ないことばかり。40歳以下の若手研究者の比率を上げろというが、そのために、30代を任期付きで雇い40歳を超えたら雇い止めということも 起きかねない」と批判します。

雇止めによる研究力の衰退危機

 

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しんぶん赤旗 2019年1月9日(水)

非常勤345人守った 理研労のたたかい

雇い止めルール全廃へ決意新た

 国立研究開発法人・理化学研究所理研、本部・埼玉県和光市)では昨年、理研労働組合のたたかいで非常勤職員345人の雇い止めを撤回させ、無期 雇用転換へ道を開きました。新しい年を迎え、引き続き事務系職員の5年雇い止めと研究系職員の10年雇い止めルールを撤廃するまで頑張ろうと決意を新たに しています。(田代正則)

「続けたい」当事者の声が

 理研は100年の歴史を持つ国内唯一の自然科学系総合研究所であり、ノーベル賞を受賞した湯川秀樹朝永振一郎らが集い、「科学者の楽園」と呼ばれました。

 その理研で2016年4月、研究を支えてきた非常勤職員を5年の契約上限で雇い止めにするルールが一方的につくられました。

 改正労働契約法によって有期雇用が5年を超えて継続すると無期雇用に転換できるルールが18年4月から適用される前に、就業規則を変え、無期雇用試験で選別する仕組みを導入したのです。「雇用の安定」という法の趣旨に反するものです。

 18年3月末で、契約上限に達するのは約500人。無期試験合格者は16年74人、17年47人とごく少数で、大量雇い止めが予定されていました。

 理研労は雇い止めをやめるよう求めました。当局が誠実に話し合わないため、17年12月、科学技術産業労働組合協議会(科労協)とともに東京都労働委員会に不当労働行為救済を申し立てました。

 金井保之理研労委員長は「撤回させたのは、当事者が働き続けたいと声をあげたことが大きかった」と振り返ります。

 研究チームのアシスタントをしている40代の女性は、「営利企業ではない理研で働いていることに、愛着と誇りを持っています」と話します。研究員のスケジュールや研究費の管理、出張手続き、研究装置の発注などを担う業務です。

 「年度替わりが、いちばん忙しい。私たちが雇い止めになれば、研究がストップします」と強調。絶対に撤回させると決意し、仕事を続けました。

 組合が開いた非常勤職員の相談会では、雇い止めを強行されたら、裁判を起こして職場に戻ろうとの決意が相次ぎました。

 全国大学高専教職員組合全大教)、東京大学職員組合、首都圏大学非常勤講師組合などと院内集会を開き、共同を広げました。

 日本共産党の田村智子参院議員は18年2月1日の参院予算委員会で追及。林芳正文部科学相(当時)から「適切に対応するよう理研に伝える」との答弁を引き出しました。

 理研当局側は2月19日の団体交渉で年度末の雇い止めを撤回する方針を表明。26日の職員説明会では「国会で議論があった」と説明しました。

 就業規則そのものを改めさせ、研究系職員の10年雇い止めも撤回させるまで、たたかいは続きます。

論文数減 頭脳流出も

 和光市駅から理研本部までの約1キロは、同所で発見された113番目の元素にちなんで「ニホニウム通り」と名付けられました。かつて米軍基地が返還されて理研本部になったことは地元の誇りとされています。

 こうした大がかりな科学研究は、専門知識を持つ研究系職員がデータ解析や実験機器の設計・操作などで支えています。

 ところが安倍政権は、財界大企業の要望を受け、2013年12月、任期付きの研究者は10年雇用継続するまで無期転換権の発生を先延ばしする法改悪を行いました。

 理研では研究系職員に10年先延ばしを適用し、さらに2023年にはじまる無期転換を逃れるため、10年上限で雇い止めにするルールがつくられま した。田村議員の調査で、対象となる研究系職員は2122人(18年4月時点)にのぼり、毎年、大量雇い止めになれば研究が成り立ちません。

 40代の男性は大学院を出て、当初、「研究員」に応募しました。希望の研究に任期付きのポストしかなく、「テクニカルスタッフ(職員)なら長く働 ける」とすすめられて、研究系職員になりました。「研究テーマが変わっても職員としてサポートを続けてきたのに、突然、10年で雇い止めだと言われても納 得できない」と訴えます。

 男性は「国の政策で、人件費に充てる基盤的予算(運営費交付金)が少ないため、私たちは“物件費”の扱いです。研究予算の増減で、賃金カットや雇い止めが起こっています」と話します。

 科学誌『ネイチャー』が17年8月に、理研のある研究の予算が43%カットされ、スタッフへの報酬と実験用マウスの維持費用が困難になっていると紹介。理研の予算が削減されていると警鐘を鳴らしました。

 日本の科学論文発表数は03~05年の2位から、13~15年は4位に順位を下げました。質が高いとされる引用回数の多い論文数も4位から9位へ落ち込みました。

 研究系職員のなかには、雇い止めになるのなら、AI(人工知能)開発などのIT企業に転職しようとする人も現れており、頭脳流出が起こっています。

 男性は昨年11月21日、共産党の田村議員事務所と党和光市委員会が理研労を招いて開いたシンポジウムに参加しました。「理研関係者だけでなく、地域の人たちがたくさん参加してくれ、驚きました」と話します。

 金井保之理研労委員長は、「日本の科学研究の発展のためにも、不当な雇い止めルール撤廃までたたかいます」と話しています。