エルムの森だより

北海道大学教職員組合執行委員会ブログ

「賃金の不利益、事前説明を」最高裁差し戻し

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毎日新聞2016年2月19日 20時30分(最終更新 2月19日 20時30分)

退職金減額

「賃金の不利益、事前説明を」最高裁差し戻し

 勤務先の合併による労働条件の変更で退職金を大幅に減額されたとして、信用組合の元職員らが合併先に減額分の支払いを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁 第2小法廷(千葉勝美裁判長)は19日、「賃金や退職金の不利益変更に対する労働者の同意は、事前に具体的に内容を説明し、労働者の自由な意思を得る必要 がある」との初判断を示した。

 その上で元職員側を敗訴とした2審判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻した。元職員側が逆転勝訴する可能性がある。経営者側が賃金や退職金をカットする場合、より丁寧な情報提供を求めたと言えそうだ。

 訴訟を起こしたのは合併で解散した信組の元職員ら。合併で退職金の規定が変更され、著しく減額されたとして合併先の山梨県民信用組合甲府市)に支払いを求めた。元職員らは規定変更の同意書に署名押印しており、同意があったと言えるかどうかが争われた。

 小法廷は「労働者は同意の基礎となる情報を収集する能力に限界がある。署名押印があったとしても、労働者への事前の情報提供の内容などに照らして判断す べきだ」と指摘。「自己都合退職の場合には支給額が0円となる可能性が高くなることなど、具体的な不利益の程度を説明する必要があった」などとして、審理 が尽くされていないと判断した。【山本将克】

リストラ誘発しかねない再就職助成金

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朝日新聞の2/22です

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リストラ誘発しかねない再就職助成金 支給要件厳格化へ  

事業縮小や再編で離職を余儀なくされた人の再就職を支援する国の助成金について、厚生労働省は4月から支給要件を厳格化する方針を固めた。人材会社が、企業にリストラ方法をアドバイスし、助成金が使われる退職者の再就職支援で利益を得るなどしているためだ。労働者を守るためのお金が、リストラを誘発しかねない仕組みになっている。 「ローパー」社員に退職勧奨 人材会社がノウハウ  

支給要件を見直すのは雇用保険を財源とする「労働移動支援助成金」。企業が雇用を維持できない状況になった場合、労働者を速やかに再就職させるため、再就職支援を人材会社などに委託すると企業に支給される。委託時に10万円、6カ月(45歳以上は9カ月)以内に再就職が実現すれば委託費用の一部が支払われる。上限は1人につき60万円。  厚労省が問題視しているのは、人材会社の関与だ。事業効率化を考えている企業に、人材会社が人員削減の手法を提案。上司が部下に退職を促す方法などを無料でアドバイスする。退職者の再就職支援は、同じ人材会社が引き受け、助成金が流れているという。「アドバイスは無料だが、最終的な利益は人材会社に入る仕組みだ」(厚労省幹部)。この仕組みだと人材会社の利益のために、必要以上のリストラが誘発されかねない。  このため厚労省は、人材会社にこうした提案をしないよう求めたり、人材会社が関与していないことを助成金の申請手続きで企業に明記させたりすることを検討している。具体的な要件は3月末までに詰める。  人材会社が関与したケースでは、企業が評価の低い「非戦力社員」をリストアップし、退職を迫っていた例があった。退職を勧めること(退職勧奨)自体は合法だが、何度も強く迫るなど強要すれば違法だ。退職を強要したと受けとられかねないような迫り方で、厚労省も雇用の安定を図る法の趣旨に照らして「問題なしとは言えない」(担当者)として、防止策を検討する。  

この制度は「行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換を図る」(安倍晋三首相)ため、2014年3月から大企業も対象に加えるなど拡充された。予算規模も2014年度当初は前年度の150倍にあたる301億円に急増。15年度も349億円を計上した。ただ景気の回復もあり、14年度に使われたのは6億円にとどまる。(古賀大己、北川慧一)

■退職勧奨を助成金で国が後押ししているようなもの  〈国学院大・本久洋一教授(労働法)の話〉 

本来は規制すべき退職勧奨を助成金で国が後押ししているようなものだ。企業が社員の再就職を人材会社に丸投げし、助成金を支給する形では、人材会社が得をするだけ。助成金が何にどう使われているかを調べるモニタリングも不十分で、無責任な支援策と言わざるを得ない。  

そもそも新卒一括採用や終身雇用が根強く残る日本で、人材の流動化を進める政策は合わないのではないか。外見だけ流動化を進めようとしても、流動化が進む欧米とは似て非なるものになるのは当然だ。

財務省国立大学の交付金削減の方針 大幅学費値上げにつながる

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国立大の運営費交付金の削減は

国の高等教育への責任を放棄する愚策ですね

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しんぶん赤旗 2016年2月12日付

論戦ハイライト

国立大学の交付金削減 学費値上げにつながる

衆院予算委 畑野議員が追及

経済団体も「地域の衰退に直結」

 10日の衆院予算委員会で、国立大学の運営費交付金削減問題をとりあげた日本共産党の畑野君枝議員。国立大学の学費値上げにつながる交付金削減を推進していく政府の姿勢が明らかになりました。

悲鳴が相次ぐ

 国立大学の収入の中心を占める運営費交付金は、国立大学の法人化以降、12年間で12%、1470億円も大幅削減されています。さらに財務省が昨年10月の財政制度等審議会(財政審)で、「運営費交付金を毎年1%減少させ、自己収入を毎年1・6%増加させることが必要」との提案を行ったことに対して、全国36の国立大学の学長や経営協議会学外委員から声明が発表され、「壊滅的な機能不全に陥る」と批判の声があがっています。

 安倍晋三首相の地元山口県では、経済同友会中小企業団体中央会など県内経済団体が「運営費交付金の削減による地域の基幹大学の衰退は、地域経済の衰退に直結する重大事」と予算の拡充を求める声明を出しました。

 畑野氏は、全国の大学関係者や地域をあげた反対の声で、16年度の運営費交付金の総額は予算案では前年度と同額に据え置きになったと指摘。「問題なのは今後、どうしようとしているかだ」とただしました。

 畑野 17年度以降の運営費交付金の削減を検討しているということか。

 麻生太郎財務相 運営費交付金を適正化して再配分するルールの導入とあわせて、自主財源の目標を設定して、経営力の強化と自立性の確保を向上させる。

 畑野 運営費交付金を削減するという話を認めた。重大な答弁だ。

 答弁で、運営費交付金を削減する新たな仕組みが導入されることが明らかになりました。

 新潟大学では運営費交付金の減少に対応するため、教員の昇任や退職者の補充の凍結などで人件費を抑制する措置を決定。学長は「教員の給料や教育、研究の質を下げないための苦渋の判断だ」としています。

 昨年10月の財政審での財務省提案に基づいて自己収入増をすべて授業料で賄うとしたら、「15年間で約40万円の増、約93万円の授業料になるという試算は文科省が示したものだ」とただすと、馳浩文部科学相は同省がそのように答弁したことは事実だと認めました。

抜本的増額を

 昨年11月の財政審「建議」は「自己収入構造を考える際、授業料引き上げについても一定の議論が必要である」と書いています。

 畑野 自己収入増のためには授業料引き上げも行えということになる。

 財務相 国立大学も聖域化せず、運営費交付金の適正化を行うことが重要。運営費交付金への依存を減らし、多様な収入源の確保によって経営していく力を強化していくことが必要だ。

 畑野 運営費交付金を削って自己収入で賄えという方針だ。結局、授業料引き上げにつながる。

 畑野氏は、子どもの大学、高校受験のため一生懸命働く親を心配する学生の声を紹介し迫りました。

 畑野 国立大学運営費交付金の削減方針をやめ、削減してきた交付金を元に戻すべきだ。

 首相 収入を増やす努力を後押しする意味も含め、交付金の改革を進めていきたい。

 結局、運営交付金を将来にわたって削減しないとは言わなかった首相に対し畑野氏は、「学費が高いうえに、給付型奨学金もないのはOECD経済協力開発機構)諸国の中でも日本だけだ。経済格差が教育格差につながる状況は放置できない」とのべ、教育予算抜本的増額へ政治の転換を求めました。

新潟大が教員人事を凍結 今春から2年間 交付金減で人件費抑制

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北大も心配です

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新潟日報 2016年2月4日付

新潟大が教員人事を凍結
今春から2年間 交付金減で人件費抑制

 新潟大が教員の昇任や退職者の補充など人事の大部分を凍結することが3日、分かった。国からの運営費交付金の減少に対応するため人件費を抑制する異例の措置で、今春採用(昇任)分からおおむね2年間凍結する。ただ、決定が1月になったため、ことし3月の定年退職者の補充は行う。学生への教育への影響が懸念されるが、高橋姿学長は「教員の給料や教育、研究の質を下げないための苦渋の判断だ」としている。

 学部長らが重要事項を審議する1月28日の教育研究評議会で合意を得て高橋学長が決定した。原則として教員の昇任や退職者の補充をしない一方で、(1)三つの教員組織(人文社会・教育科学系、自然科学系、医歯学系)ごとに空きポストが五つ出た場合(2)病院診療の担当教員に欠員が出た場合(3)配置数が国の設置基準を下回る場合−などは例外として新たな配置を認める。支障がある場合は非常勤講師などで補う。3カ月ごとに教員の配置や財政状況を確認し、必要に応じて見直す。

 新大によると、国から新大への一般運営費交付金は法人化された2004年度の145億円から、15年度は134億円に減少し、今後も厳しい状況が予想されるとしている。新大教員の定年退職者は毎年20〜30人で、人件費の削減効果は年数千万円から億単位になるとしている。

 高橋学長は「あくまで短期的な対応」と強調した上で、2年の間に第3期中期計画(16〜21年度)期間の配置の見通しなどをつくりたいとしている。

 文部科学省国立大学法人支援課は「個別大学の人事方針については把握していない」としている。

 凍結方針は、昨年に学内で本格的に検討が進められ、職員組合は「教員の士気低下につながる」と反発。慎重な審議を求めるため組合役員らでつくる有志が教員らから約300人分の署名を集め、1月27日に高橋学長に提出した。

 新潟大職員組合の岡野勉中央執行委員長は「教育や研究などへの影響は避けられない。昇任できず不利益を被ることになる教員への対応を大学にただしていきたい」としている。

国立大学の運営費交付金 17年度以降毎年削減算定ルールを政府決定,授業料値上げは必至

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国立大学の運営費交付金 17年度以降は毎年削減
 政府は2016年度予算案で国立大学の運営費交付金を15年度と同額の1兆945億円とし、17年度以降は毎年削減する算定ルールを決めました。

 文科省の説明によると、16年度から始まる第3期中期目標期間(6年間)は、毎年、人件費など最も基盤的な経費にあてる基幹運営費交付金をいった ん約1%にあたる約100億円を削減して財源をつくり、その半分の50億円程度を教育研究活動の「機能強化」のための改革に取り組む大学に再配分する、三 つの重点支援区分(別項)を新設します。民間資金の獲得割合を上昇させた大学に対し、より多く重点支援するとしています。
 残りの財源を使って大学の組織改革に必要な設備などにあてる補助金を17年度に新設するとしています。
 私立大学への経常費補助も15年度と同額の3153億円に維持し、国立大学と同様に「経営力の強化」にむけた改革を進める大学に重点的に支援するとしています。

【三つの重点支援区分で異なる削減率】
・重点区分(1)(弘前大学など55大学)=地域のニーズに応える教育研究(削減率0・8%)
・重点区分(2)(東京芸術大学など15大学)=分野ごとの優れた教育研究(削減率1・0%)
・重点区分(3)(東京大学など16大学)=卓越した教育研究(削減率1・6%)

解説

穴埋めに学費値上げも
2016年度の国立大学運営費交付金が前年度と同額となり、04年の国立大学法人化以降に続いてきた交付金の連続削減には歯止めがかかることになりました。国立大学協会をはじめ大学関係者がかつてなく声を上げたことによるものです。
 その一方で、人件費や光熱水費など教育研究を実施するうえで必要とされる最も基盤的な経費に充てる基幹運営費交付金を毎年約1%、100億円を削減するルールを導入したことは重大です。削減額は、学生1人当たり毎年約1万6千400円になります。
 各国立大学は、16年度から6年間の中期目標・計画を作成中ですが、17年度以降の5年間で5百億円、学生1人当たり8万2千円の削減となります。
 毎年削減される100億円の半分を「機能強化経費」に再配分するとし、残りの財源で設備整備むけの補助金を新設するとしていますが、これらは人件 費などの基盤的な経費に充てることはできません。ある地方大学の学長は、「これでは教職員数を削減するしかない」と語っています。
 交付金削減の穴埋めのために、民間企業からの研究費獲得に血道を上げざるをえません。しかし、これは容易ではなく、できない大学は学費値上げに踏み切らざるをえなくなります。
 「15年間で学費40万円値上げ」問題の発端となった昨年10月26日の財政制度等審議会財務省主計官は、「まず先に運営費交付金について1% 減額といったような目安を置くことにより」大学に自己収入増のインセンティブ(動機)をあたえるべきだと語っていました。今回決まった算定ルールは、財務 省の狙いどおりのものです。

 (しんぶん赤旗 2016年1月12日(火))

北大学外委員などの地方財界人・首長・著名人が 国立大交付金 削減に反対 25大学で声明発表

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しんぶん赤旗 2015年12月6日(日)

地方財界人・首長・著名人 国立大交付金 削減に反対 25大学で声明発表  

国立大学の運営費交付金の15年連続削減を打ち出した財務省に対し、大学経営協議会の学外委員を務める地方財界人や首長、著名人らが、「存立を危うくする」として強く反対する声明を相次いで出しています。学長声明も含め4日時点で25大学に広がっています。  

北海道経済連合会会長ら13人の北海道大学経営協議会学外委員は「科学技術イノベーション推進など政策目標が達成できなくなる。学術研究の発展と 高等教育の未来の投資として、基盤的サポート体制の構築が不可欠」と強調。

京都府知事、京都市長ら13人が名を連ねる京都大学も「国立大学の将来、我が国 を支える科学技術と高等教育の未来に大きな禍根を残す」、

佐賀銀行頭取、佐賀県知事佐賀大学委員も「地方創生を担う責務を果たすための財政支援が不可 欠」とのべています。  

新日鉄住金塩野義製薬小松製作所など大企業の社長ら大阪大学の委員は「わが国を支える高等教育と科学技術の未来に大きな禍根を残す」と批判。

滋賀大学も「国立大学が壊滅的な機能不全に陥り、将来に計り知れない大きな損失を与える」と訴えています。  

財務省交付金を15年間連続削減する方針で、不足分を授業料で補えば93万円まで40万円も値上がりします。  

「授業料の増額は、学生たちが大学で学び、未来を切り開いていく機会を国の政策によって奪うことを意味する」と批判するのは、県医師会会長、県看 護協会会長らが加わる秋田大学

県医師会会長や自動車販売会社社長ら三重大学の委員は「教育の質や研究の水準すら難しくする。教育格差の拡大や負担増でさ らなる少子化の進展にもつながる」と主張しています。

経営協議会学外委員などが反対声明を出した大学(12月4日現在、共同声明を含む)  北海道大学  岩手大学  秋田大学  お茶の水女子大学  横浜国立大学  千葉大学  新潟大学  金沢大学  富山大学  福井大学  北陸先端科学技術大学院大学  三重大学  滋賀大学  滋賀医科大学  京都大学  大阪大学  奈良教育大学  和歌山大学  神戸大学  岡山大学  徳島大学  長崎大学  佐賀大学  熊本大学  鹿児島大学

早大 5年雇い止め撤回,非常勤講師組合が和解, 3000人 無期雇用へ道

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この問題は,雇い止めの問題であるとともに,学問研究の継承の問題でもあります

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しんぶん赤旗 2015年11月26日(木)

早大 5年雇い止め撤回
非常勤講師組合が和解
3000人 無期雇用へ道

 首都圏大学非常勤講師組合(東京公務公共一般労働組合加盟)と同組合早稲田ユニオンは25日、厚生労働省内で会見し、早稲田大学が非常勤講師を5 年上限で雇い止めにする方針を撤回することで、和解協定を結んだと発表しました。早大で働く約3000人の非常勤講師たちが、5年以上勤務して無期雇用に 転換する展望をひらいたことになり、全国の大学に影響を与えるとみられます。

 同組合の組合員などは、早大が2013年3月に就業規則で5年上限雇い止めを定めたことに対し、手続きに労働基準法違反があるとして、刑事告訴・告発などを行っていました。

 和解協定は18日、東京都労働委員会の立ち会いのもとに締結。14年3月31日以前から勤務している非常勤講師は、5年上限が撤回され、5年勤務 すれば改正労働契約法によって、無期雇用契約へ転換を申し込む権利が発生します。大学側は1人あたりの担当授業を4コマまでに制限しようとしていました が、8コマまで増やすことになりました。

 14年4月1日以降に勤めはじめた非常勤講師について、大学側は雇用期間を10年上限、付属の高校や専門学校については5年上限にすると提案して いるため、組合側は上限廃止を求めて協議を継続するとしています。非常勤講師の種類による賃金格差などについても是正に取り組みます。

 大野英士早稲田ユニオン代表は、「非常勤講師の多くは大学院までの奨学金の返済を抱え、低賃金だ。非正規雇用全体の問題としてとらえ、運動にしていく」と強調しました。


 日本共産党の田村智子参院議員は13年6月の国会質問で、早大の非常勤講師問題を取り上げ、谷川弥一文科副大臣(当時)から「学校法人においても労働関係法に従うもの」と答弁を引き出しました。